在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

胃薬の功罪

高齢の患者さんはポリファーマシーと呼ばれ沢山の薬を飲んでます。日本人は病院が好きであり、薬が好きです。そして患者さんが飲んでいる薬の代表として胃薬があります。その一つプロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸の分泌を抑える胃薬です。この薬のおかげで、…

腰椎圧迫骨折について

腰椎圧迫骨折は、高齢の女性で非常によく見られる病状です。最近では、芸能人で松本伊代さんが圧迫骨折を受傷したと報道がありました。女性の身体は、40前後から大きく変化していくので、圧迫骨折は決して高齢者に限られた病気でないことを思いしらされまし…

明日の講演会について

2021年は数えると講演会に21回呼んで頂いておりましたが、最近は自院開設準備などでお断りしておりましたが、明日久しぶりにお話ししてきます。 テーマは最近話題の心不全治療薬ARNIです。 脳外科医が心不全の話?と思われるかもしれませんが、以前の施設で…

人生の最期が看取り難民とならないために

現在の日本における「人生の最期」の迎える場所として、実際には病院で臨終を迎える事例が80%、自宅で迎えるケースは12~3%という割合です。信頼できる統計では1951年は在宅死が82.5%、病院死が17.5%です。もちろん、現在の死因として癌などの…

これからの医療の在り方~脳外科医から在宅医療を志して (発展途上の在宅医療奮闘記)

私の簡単な自己紹介 脳外科医を志して早20年、本当に沢山の手術をさせて頂きました。 脳外科医の世界、とりわけ手術の世界は本当に自身を魅了する世界でした(過去形です)。 一方で、本当に僕の仕事は人を幸せにしているのだろうか?と自問する20年超でした。…

3/25 Zoom勉強会「褥瘡を科学する」行わせて頂きます

先月「認知症を科学する」という勉強会を開催させて頂き、沢山の方に御視聴頂きました。 対象は、医療に関わるスタッフへという目線でしたので、やや細かい数字を入れ込みましたので皆さまの満足度が大変気になるところではありましたが、、、 加齢に伴い、…

偽痛風に関すること

「偽痛風(ぎつうふう)」はピロリン酸カルシウムが関節内に沈着する結晶性関節炎です。 高齢者に多い疾患(発症年齢はほとんどが60歳以上)なので、高齢者の発熱時には、鑑別に挙げておく必要があります。 整形外科勤務医時代に、入院患者の偽痛風の院内紹…

高齢者の入浴中の突然死を防ぐためにできること

冬場は高齢者が入浴中に突然死する事故が多いと言われています。 以前も書きましたが、浴室での突然死は殆どが浴槽で生じます。医療者でよく使用される言葉としては、熱失神によるもです。 今回はそのメカニズムを解説し、そうならないためにはどうしたら良…

下腿浮腫に関係する薬3つ

写真は逗子在住山内明徳様撮影 むくみは内科的な原因(心不全、腎不全、低栄養など)であることが多いですが、整形外科で処方される薬が原因のこともあります。 処方される薬で、下腿浮腫に関係する薬をまとめてみます。 ①リリカめまい、傾眠などの副作用が…

在宅診療での腸閉塞の診断:超音波所見編

腸閉塞は在宅診療において見逃してはならない病態です。そしてこれは、超音波で比較的容易に分かります。腸閉塞では腸管拡張しており、また、ケルクリング襞がkeyboard signを呈しています。 さらに腸管内容物が行ったり来たりする、to and fro がみられます…

パープルバッグ症候群

長期に尿道カテーテルが留置されている患者さんで、尿バッグが紫色であることを気にしている患者さんがいました。 これは、紫色採尿バッグ症候群(Purple Urine Bag Syndrome)とよばれていますが、特に気にする必要はありません。 尿バッグが紫色になる機序…

Give me liberty, or give me death !( われに自由を与えよ,しからずんば死を)

この言葉はアメリカ独立戦争の開始にあたり,ヴァージニア植民地協議会で,パトリック=ヘンリが叫んだ言葉だそうです。小学生の時にお婆ちゃんが買ってくれた学研シリーズで知った言葉です。話は少し逸れますが、子供の頃はこの学研シリーズが大好きでした…