動脈瘤塞栓術において問題の一つはネックの広さです。
ネックが広い場合には、そのままコイルを入れると正常な血管にコイルがはみ出てしまいます。
正常な血管にコイルが出てこないようバルーンカテーテルという風船付きの管を入れてはみ出しをおさえます。
例えば、脳底動脈という動脈瘤は開頭による手術がとても難しい場所です。
この場所を血管内治療で治療する場合、ネックの広さや血管の温存が難しい場合があります。
こういった形の動脈瘤に普通にコイルを入れるとコイルがはみ出てきますが(左図)、バルーンで押さえることによって塞栓が可能になります(右図)。
こうしたネックを作る作業を英語でネックプラスティ(neckplasty:ネックを作る)と呼んでいます。
この風船が日本で使えるようになった際には、とても画期的でしたが現在ではその種類も増え、状況に使い分けるまでになっています。
またこの風船にも色々な種類があって、上の図のように非常に柔らかくて血管に沿って広がるタイプのものが出てきました。
このバルーンが使えるようになって、まだ10年チョットです。
その後に沢山の道具(武器)が増え、益々血管内治療は安全かつ難しい症例も治療できるようになりました。
本当に医学の進歩は凄い!と感じる日々です。