在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の問診で特に注意する点として、非運動症状にも注意が必要です。 具体的には ・幻視の有無 ・REM睡眠行動異常(睡眠障害) ・むずむず脚症候群(睡眠障害) ・自立神経障害(便秘、起立性低血圧) ・うつの合併(精神症状) ・抗精神病薬やスルピリド(…

癌でない病気の終末期

終末期医療というととても寂しい響きですが、在宅医療においては避けて通れない医療です。例えばがん患者さんが、抗がん剤治療などの効果が望めず、それ以上の無理な治療をしないことなどは終末期医療として分かりやすいかと思います。 但し、非がん患者さん…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の問診においては、患者さんの主訴として運動症状を主訴とすることが多いことが重要です。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン症状を呈する疾患の診断アルゴリズムは上図のように 身体学的所見、病歴、身体診察、補助検査にておこなわれます在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康…

高齢者が夜間不穏になった場合

認知機能が低下した高齢者が入院すると、かなりの確率で不穏となります。そうした場合、安全の為抑制し薬にて鎮静します。こうした処置にて徐々に身体が弱っていき肺炎などを併発して寝たきりに移行する患者さんを沢山診てきました。在宅医療では、可能な限…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療の原則は下記の通りである 神経保護効果が証明された薬剤はなく、基本は対症療法である ADLに影響の大きい無動は治療の指標となる 薬の効果を他覚的に評価するには、筋硬直が参考になる 治療の目標は、ADLの改善であり、症状をゼロにする…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療は後期になると、様々な処方にて対応する場合があります。それぞれの処方の特徴と処方方法に関して工夫することより、患者さんの病態が劇的に変化することがあるのもパーキンソン病治療の醍醐味と私は考えております。 在宅医療 | さくら…

高齢者の腰痛に関する注意点

加齢に伴い腰痛は、かなりの頻度で生じます。腰痛に関する話を始めると終わりなき世界となるため、ここでは脊椎圧迫骨折についてお話しさせて下さい。 脊椎圧迫骨折は高齢者によくおこる骨折の一つです。診断に関しては、病歴が重要です。 ①受傷機転脊椎圧迫…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療の原則はL-DOPA及びドパミンアゴニストが治療薬の二本柱と考えて問題ありません。(L-DOPAの方が太い柱)であとはオプションと考えます。 但し、病状の後期(ハネムーン期以降)では、オプションの選択及び投与方法等の検討が重要です。 また…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療の王道はドパ製剤ですが、ドパミン受容体を刺激するドパミンアゴニストも2ndラインの治療薬として重要です。そして、それ以外の製剤としてドパミンの分解を阻害するMAO-Bも治療薬として、パーキンソン病治療中期以降として重要な薬剤です(…

ポリファーマシーの功罪~年をとると色々痛くなるので痛み止めが必要な時

年をとると色々な箇所が痛くなります。腰痛などは、大なり小なりあると考えます。こうした際に痛み止めをどうするか。NSAIDsと呼ばれる痛み止めには胃潰瘍などを生じさせるリスクあり胃薬が必要です。痛み止めのロキソニンは切れ味は良いですが、その分副作…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病は、ハネムーン期という治療が比較的容易な時期から徐々に治療困難な時期へ移行します。これは上図のように治療後期においてドパの血中濃度(青色の領域)が徐々に狭くなり無効域(ピンクの領域)が増えていくことによります。これに対する対応策…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病における症状変動=ウェアリングオフは上図が示すように ドパミンの減少により放出と取り込みの回転が過剰 ➤ドパミンの血中濃度が波打つ ➤ドパミンを溜め込む作用は消失 この様な機序にておこります。 在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子…

ポリファーマシーの功罪~薬は少なければ少ないほど良い

ガスター等のH2ブロッカーを長期間使用することで、高齢者の認知機能が低下するリスクが報告されています。これは中枢神経にもH2受容体存在することが、その理由です。ただし、こうした薬剤は脳内への移行はしにくいのですが、腎機能障害などにより排泄が遅…