在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒルドイドは乾燥剤として作用する

ヒルドイド(ヒルドイドソフト軟膏やヒルドイドソフトクリーム)が皮膚に対し乾燥剤として作用していることがよく分かる症例を提示したいと思います。 90代男性。両足関節前面に非常に強い乾燥があり、痒みもあった患者さんです。皮脂欠乏性湿疹の診断で、ヒ…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病は運動症状が有名ですが、非運動症状が先行することが重要な点です。 また下図が示すようにパーキンソン病は様々な病態が混在する=単一の疾患でないとい考えることができると思いますが、如何でしょうか。在宅医療 | さくら在宅クリニック | …

痛みのない傷の処置を目指して

当クリニックでは、褥創や傷を洗浄する際には水道水で良いと考えてますが、より痛みが生じないように、生理食塩水で洗うことを推奨しています。 生理食塩水は血漿浸透圧と同等な浸透圧を持ち、組織に対する刺激が少ないためです。 病院でよく行われているの…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病×認知症に関しては、下記の図が示すように発症年齢が高いグループに認知症とパーキンソン病の相関が認められます在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健…

リウマチ性多発筋痛症の診断と治療

高齢者を中心に診療していると、高齢者に多い疾患であるPMR(リウマチ性多発筋痛症)によく遭遇します。 第95回日本整形外科学会学術総会において、「リウマチ性多発筋痛症の診断と治療 杉原 毅彦先生 聖マリアンナ医科大学リウマチ膠原病アレルギー内科」と…

パーキンソン病を科学する

症状の進行は予測できるか? この問題に関する体軸症状・自律神経症状に関しては下記のような予測が可能です。 また、このグラフ示すのは運動症状から10-15年経過すると様々な症状の顕在化を示しています。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shouna…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病患者さんの質問に、どれくらいで寝たきりになるかという質問があります。 下記のデータが示すことはドーパ製剤はパーキンソン病を治癒させることはできないが、寝たきりになる=進行度を遅らせることを示しています。この機序は、今後詳しく説…

認知症の行動・心理症状に対する薬物療法

施設入居時などに、環境が変わったことが契機となり、認知症の行動・心理症状(BPSD)がひどくなり、昼夜問わず暴れて手がつけられなくなる方がいます。当院では、施設の窓から飛び出してしまった方、介護者の首を絞めた方、ドアを蹴ったり椅子を投げたりし…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病+症候群であるレビー小体型認知症の症状と検査所見は下記にようにまとめることができます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別は下記のようになります在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参ります

プレタールという薬

プレタールという薬は本邦から開発された抗血小板剤であり、この薬の第三相試験(その薬が本当に効果あるか、悪いことが起きないか実際の臨床で使用する試験です)において私もデータ処理などで関わった経験あり思い入れある薬です。その効果は、シロスタゾー…

パーキンソン病を科学する

パーキンソニズムを来す非変性疾患としては、上記疾患を挙げることができます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参ります

パーキンソン病を科学する

パーキンソニズムをきたす変性疾患としてパーキンソン+症候群は下記の様にまとめることができます在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参ります

在宅診療における敗血診断

敗血症とは血液が敗ける症(病)であり、血液の中に菌が繁殖している病気と考えて下さい。血液中に菌が繁殖しているのですから、病気としては大変重篤です。 こうした場合、SOFAというスコアがあります。このスコアでは採血結果所見が必要です。在宅医療ではす…

パーキンソン病を科学する

SWEDDs; Scans without evidence of dopaminergic deficit この言葉の意味は 専門家が「パーキンソン病」と診断したにも関わらず DAT SCANが正常である一群です DAT SCANの普及とともに注目されるようになり L-DOPAへの反応が不良で、中止しても悪化しないか…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の診断においてDAT SCANが有用です トレーサーのドパミントランスポーターへの集積を見て診断するものです これにより パーキンソン病 多系統萎縮症 進行性核上性麻痺 レビー小体型認知症 大脳皮質基底核変性症 の診断が正確に行えることにな…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の診断として心筋MIBGシンチグラフィーが有用です。 その診断特性は簡単に説明すると下記のようにまとめられます。 ・パーキンソン病やレビー小体型認知症ではαsynucleinが交感神経終末から蓄積する ・αsynucleinが蓄積した交感神経終末は脱落…

患者さんが不穏・せん妄になったら

せん妄に関して薬物治療は、簡単ですが安易かつ患者さんの為にならない治療です。 脳外科医として働いていた頃に、クモ膜下出血で救命した患者さんがいました。 60歳代の患者さんで比較的若く自分で食事も食べれるし、自排尿なども自立しておりリハビリ病棟…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン プラス症候群である正常圧水頭症の画像所見の特徴は 上図のような脳室拡大、高位円蓋部の狭小化が挙げらます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康…

慢性心不全の終末期医療

以前の経験した患者さんです。 90代の男性で5年前に心筋梗塞を患いカテーテルの治療受けましたが、左心機能不全にて治療抵抗性の慢性心不全でしたが、ご自宅で生活させていました。その後発熱に伴う意識障害、体動困難にて入院となり高齢の奥様に説明し急変…

パーキンソン病を科学する

純粋なパーキンソン病においては、MRI上有意所見なしと前述しましたが、パーキンソン+症候群ではMRIにて所見ある疾患あります。 多系統萎縮症のMRIにおいては 十字サイン、小脳萎縮特徴的所見です 在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitak…

パーキンソン病を科学する

純粋なパーキンソン病においては、MRI上有意所見なしと前述しましたが、パーキンソン+症候群ではMRIにて所見ある疾患あります。 進行性核上性麻痺においては、上記のようなハミングバードサインが特徴的です。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (sho…

在宅医療と抑制

高齢者の在宅医療において家族の負担となる一つの理由は、不穏などの症状です。 もちろん陽性症状として大声あげて外にでる、物を投げたりするなどの症状ある場合は、ある程度内服による管理必要と考えています。但し、少しふらつくからベッド上というのは高…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の検査について 頭部MRI ・パーキンソン病では、基本的に頭部MRIは正常 ・進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、正常圧水頭症、脳血管性パーキンソニズム皮質基底核変性症などでは異常あることあり、これらを検索するのが目的 ・ただし、上記疾患…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の身体所見 歩行に関して ・歩き始め、方向転換時のすくみ脚を評価する ・典型的には、腕の振りが少なく、前傾小刻み歩行である ・しばしば、歩行により振戦が誘発される 姿勢反射障害に関して ・バランスを崩すような刺激を与え、姿勢の立ち…

食欲不振で現れた老年期うつ病

施設入居中の90代女性。認知症あり。 半年くらい前から食欲不振がみられました。食事の摂取量は、主食は全量摂れるが、副食は半分以上残すくらいでした。 また、食事の飲み込みが大変そうで、食事を口にため込んでいるとのことでした。 食事の飲み込みが大変…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の身体所見として動作緩慢・無動・寡動が挙げられます。 それらの特徴として ・椅子に座るまでの観察で、動作が緩慢であることが分かる ・動作緩慢のみならず、思考も緩慢になる ・仮面様顔貌も筋硬直の部分表示とされる(現在では無動の要素が…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の身体所見の身体所見として次に有名なものは 筋硬直が挙げられます ・鉛管様、もしくは歯車様と表現される ・手関節の筋硬直は治療薬の効果判定に適している ・対側四肢の運動などで、誘発できることがある ・パーキンソン病では他のパーキン…

さくら在宅クリニック流 在庫管理術

在宅診療において一つの問題が在庫管理及び発注作業と考えます。 誰かが補充必要性を気づいて発注という流れに不安を感じておりました。 在庫管理及び発注において必要なこと ・誰でも簡単発注 ・皆で物品の増減を共有 ・工程の簡単平準化 これをExcelとアマ…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の身体所見として最も有名な振戦について その特徴は下記のようにまとめることができます ・母指の振戦は、丸薬まるめ運動と表現される ・静止振戦は、姿勢時振戦、両者の混在など様々なパターンがある ・静止振戦は、パーキンソン病に比較的…