在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

在宅医療における高齢者の肺炎

訪問診療を受けている患者さんは、寝たきり状態であったり、認知症、脳梗塞の既往があったりで、誤嚥性肺炎を起こしやすい方が多いです。実際、高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であるといわれています。誤嚥性肺炎を予防するためにできることを以下に書い…

認知症を科学する

レビー小体型認知症、アルツハイマー病もコリン作動性神経の障害であることより、レビー小体型認知症にドネペジルは有効であるという仮説は成り立ちます。 これに対する試験はレビー小体型認知症≒認知症を伴うパーキンソン病という病態に置き換え試験行いま…

高齢者の風邪

一般的に風邪にはPL顆粒(総合感冒薬)がよく処方されると思いますが、この薬は高齢者には特に危険です。PL顆粒1g(1回分)にはプロメタジンメチレンジサリチル酸塩という副作用が多いため今ではあまり使われなくなった第一世代の抗ヒスタミン薬が13.5mg入…

認知症を科学する

,"entityRanges":,"data":{}},{"key":"3i541","text":"しかし、この試験はそもそも仮説に対する判断基準が明示された試験ではない。つまり、統計有意が示されていない試験である。","type":"unstyled","depth":0,"inlineStyleRanges":,"entityRanges":,"data…

正しいリハビリテーション

新版 間違いだらけのリハビリテーション 「起立-着席運動」のすすめ | 三好 正堂 |本 | 通販 | Amazon リハビリは30年前と比べて治療成績が悪くなっているとのことです。 筆者はその理由は、額に汗する地道な治療が少なくなってきたためではないかと言います…

認知症を科学する

下記の資料は、一般の方には少し分かりづらいかもしれません。 かなりざっくり説明するとドネペジルの有用性を科学的に立証するために5回の試験はうまくいかず、6回目で結果をだせました。しかし、その結果とはドネペジル5mgを半年間内服させた患者は、そ…

時々ジャズ評論

その一 ブラッド・メルドーさま 手元にCDないのでネットから画像拝借 身体を通して音楽と関係できない純然たる聞き手なので、語るか黙るかという二つの選択しかありあません。 語るとすればブラッド・メルドーがJazzのメインストリートを牽引しjazzに与えた…

腰椎圧迫骨折について~サプリメントのリスク

腰椎圧迫骨折は、高齢の女性で非常によく見られる病状です。最近では、芸能人で松本伊代さんが圧迫骨折を受傷したと報道がありました。女性の身体は、40前後から大きく変化していくので、圧迫骨折は決して高齢者に限られた病気でないことを思いしらされまし…

認知症を科学する

まずドネペジルにおいて2mgの有効性が否定された 過ぎに3mg,5mgにおいても有効性評価行い、試験としてうまくいかず、症状の重い症例のみにて134試験により有効性の可能性が認められたものである。 これらが示すのは、認知症治療薬として上梓されたドネペジル…

漢方エトセトラ

人は認知機能が衰えると怒りっぽくなります。例えとして不適切かもしれませんが、ブレーキ性能が下がるのでしょう。こうした時によく使用する漢方に抑肝散という漢方があります。この漢方は不安神経症にも効きます。 印象的なエピソードとして、国内で最も高…

認知症を科学する

さて、ここから本題に入らせて下さい。認知症の治療薬が科学的に効果あるとするためには ①臨床的に意味ある効果ある×②認知症の中核症状に効果ある という2つの要件を満たすことが必要です。 そして上記資料が示すように、試験は全くうまくいかず161試験にて…

胃薬の功罪

高齢の患者さんはポリファーマシーと呼ばれ沢山の薬を飲んでます。日本人は病院が好きであり、薬が好きです。そして患者さんが飲んでいる薬の代表として胃薬があります。その一つプロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸の分泌を抑える胃薬です。この薬のおかげで、…

認知症を科学する

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壊死性筋膜炎を見逃すな!

脳外科医として病院勤務していた頃、脊椎の手術も行っていました。 特に静岡での勤務時代には整形外科医で高名な脊椎外科の先生が脊椎センターを立ち上げ、その末席で脳外科医として週1回の外来と年間で40-60件程度の脊椎の手術をしておりました。ただ、外来…

認知症を科学する

上記資料は本邦で行われた認知症専門医による患者数及び疾患頻度に関する調査です。 このデータが示すのは、あまりに疾患に地域偏在性があるということです。 しかし同じ日本人において、これほど差がるとは考えられず、認知症専門医においても如何に正確な…

高齢者の褥瘡

高齢者の在宅医療において褥瘡というのは大きな問題となります。自身で身体の向きを変えられない+栄養状態の不良により皮膚が腐る(医学的には少し不適切ですが、一般の方の理解の為にあえて、こう表現します)。こうした褥瘡含めた傷に対して以前は消毒とガ…

認知症を科学する

アルツハイマー病は非常に有名な疾患ですが、その診断は極めて不確実である認識が必要です。 そして軽度の段階での診断は難しく、中等度の段階で中核症状が全面に現れ、非常に進行した病期では周辺症状は分からなくなるくらい、病状は深刻となります。 #在…

在宅診療における尿路感染症の診断と管理(アブストラクト、診断):JAMA誌のレビューより

JAMAに在宅診療(外来)での尿路感染症の診断と管理に関するレビューが掲載されています。いわゆる膀胱炎を含む尿路感染症に遭遇する機会は、すべての外来診療を行う医師にとって、きわめて多いものと思われます。非常に重要な知見が含まれていると思い、まと…

No Cooking No Lifeアーモンドと赤エビの自家製生パスタ

休みの日のお家ごはんに 自家製パスタです テレビで見たシチリア風パスタが美味しそうだったけど、提供しているお店が近隣になく自分で作ってみました。 材料 強力粉 500g 水 150cc 卵 5個(麺3ソース2) 塩、打ち粉(強力粉)、ゆでる用 適量 アーモンド、赤エビ…

認知症を科学する

アルツハイマー病の経過は、上記資料の様な経過をたどります。 まず、中核症状と共に周辺症状が現れ、身体症状が付随してきます。 重要なことは、中核症状は全例で生じますが周辺症状は個人差があることです。 そして何より、初期においては中核症状が全面に…

人生の最期が看取り難民とならないために

現在の日本における「人生の最期」の迎える場所として、実際には病院で臨終を迎える事例が80%、自宅で迎えるケースは12~3%という割合です。信頼できる統計では1951年は在宅死が82.5%、病院死が17.5%です。もちろん、現在の死因として癌などの…

認知症を科学する

認知症として有名な疾患であるアルツハイマー病、レビー小体型認知症は上記資料が示すような異常タンパクの蓄積に依るものです。そして、非常に重要なことはこでらの疾患が重複混在するということです。分かりやすく言えば、加齢に伴い心不全、糖尿病などを…

誤嚥性肺炎

患者さんの最期の時が近づくと発熱などを起こし息苦しくなることもあります。 意識状態が悪くなると抗生物質の投与と絶飲食となります。点滴をされるとこれを自己抜去しないよう身体拘束される場合が多いです。 こんなイメージです。こうした拘束は患者さん…

認知症を科学する

認知症診断の確定診断は病理診断にて行われます。通常、認知症診断に神経細胞の生検は行われない為、完全な確定診断は亡くなった後に病理解剖にて行う必要があります。 現在においては核医学検査などの進歩にて、相当程度まで診断は可能となりましたが診断精…

パーキンソン病の日中傾眠ついて

最近のパーキンソン病(以下PD略)の経験ついて 80台の男性で無動(動けない)にて、横紋筋融解症にて搬送されPDの診断にて自宅へ戻り、その後のPDに対する治療行っていました。病期はハネムーン期(治療初期で治療が奏功する時期)にてL-DOPAをMAO-Bなど投与し、…

在宅医療におけるジクトルテープの使用経験

ジクトルテープ75mgはNSAIDs(ジクロフェナクナトリウム:ボルタレン®︎)の経皮吸収製剤です。 NSAIDsの貼付薬としてはロコアテープがあり、ロコアテープは湿布のように痛いとろに貼る局所作用型ですが、ジクトルテープは全身作用型という違いがあります。 2…

遺伝性疾患を応援する医療者・研究者の方々

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認知症を科学する

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在宅医療における体重測定の意義

体重測定は、立てる方であれば容易に行うことができ、体重を測りその経時的な変化をみることで、多くの事を知ることができるので、非常に重要であると考えています。 体重が減ってきているのであれば、老衰の過程かもしれませんし、悪性腫瘍が背景にある可能…