在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

パープルバッグ症候群とは:在宅医療と尿路感染症

長期に尿道カテーテルが留置されている患者さんで、尿バッグが紫色であることを気にしている患者さんがいました。

これは、紫色採尿バッグ症候群(Purple Urine Bag Syndrome)とよばれていますが、特に気にする必要はありません。

尿バッグが紫色になる機序は…

便秘により腸内細菌が異常増殖する。

→腸内細菌の持つトリプトファナーゼにより、食事に含まれるトリプトファンが腸内でインドールに分解される。

→腸から吸収されたインドールは肝臓で代謝され、インドール硫酸になる。

インドール硫酸が尿中に排泄され、尿路感染症を起こしていると、インドール硫酸がインディゴとインジルピンに分解される。

→インディゴは青色、インジルピンは赤色なので、混ざると紫色になる。これによって、尿バッグが紫色に染まる。尿自体は黄色である。

まとめ:パープルバッグ症候群は便秘と尿路感染症の存在を示している。長期に尿道カテーテルが留置されていれば、無症候性細菌尿は必発なので、治療対象にはならない。便秘があるかどうかは確認した方が良い

パープルバッグ症候群
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