在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

抑制の悪魔

高齢になると認知機能の低下により歩きまわるという行動が多々見受けられます。またこうした患者さんに勝手に歩かないように言ってもすぐに忘れて歩き出してしまいます。さらにこのような患者さんは転倒して圧迫骨折や、転倒リスクは高いのです。本当にこのようなケースはよくあります。歩かないようにさせるには、抗精神病薬を大量に使うことでぐったりさせて、薬で拘束するか、あるいは、車いすに縛り付ける身体的拘束が考えられますが、どちらも人道的にいかがなものかと思っています。「歩ける人が歩こうとするのは止められないので、むしろ歩行器で歩くようにした方が良いのではないか」と思うのですが皆さん如何でしょうか。もちろん転倒のリスクは避けられないので、家族の理解も必要です。立って歩くということは人間としての尊厳でもあります。歩かせないということは、人間としての尊厳を奪っていると思います。家族が転倒のリスクを許容してくれるなら、是非歩いて頂きたいと考えてます。転倒して骨折し、それが元で寝たきりになるかもしれませんが、人間としての尊厳は保たれたと言えるのではないでしょうか。人生の最期が尊厳と自由を奪われることほど、悲しいことはありません。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

写真は逗子在住山内明徳様撮影