それまで日常生活において特段問題なかった患者さんが入院により、認知機能障害が顕在化することがよくあります。認知症という言葉は、非常に一般的ですが、この病気は様々な特徴ある病態により病名が異なってきます。また症状においても中核症状と周辺症状と呼ばれる病状です。周辺症状は BPSDとも呼ばれます。BPSDは(Behavioral and psychological symptoms of dementia)の略であり、BPSDは中核症状+環境要因、身体要因、心理要因などの相互作用によって様々な精神症状や行動障害を生じます。因みに中核症状は脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能障害であり、記憶障害 見当識障害 実行機能障害を指します。そして認知症においては近年、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)と呼ばれる病態が着目されています。これは、認知症の前の段階であるとされ、 認知機能の低下がみられますが、現状では認知症とされるほどではなく、日常生活に困難をきたす程度でもありません。こうした病態に心当たりある高齢者は多いと思います。脳外科医として外来されている患者さんに画像評価行うと「最近物忘れ多くて、認知症の方はどうですか?」という質問をよく受けます。まさにMCIの病態と考えます。こうした患者さんが何かのきっかけで認知症の症状が発現することは、非常によくあることです。BPSDとは中核症状+環境要因、身体要因、心理要因に依り生じ、入院とはまさに環境要因、身体要因、心理要因が変化することですから。こうした症状出現した時にどうすればよいか?薬剤などで鎮静したり、抑制など行い転倒防止するのが医療現場の大半だと思います。自身は可能な限り退院とするようにしてます。もちろん、病状や環境により難しい場合もあります。ただ、こうした患者さんは自宅へ帰ると、ほぼ普通に戻ります。自宅に帰る際も『大変だったら、すぐ戻ってきてください』と言えば、患者さんの家族も安心して退院を受け入れられます。自身の経験で言えば、戻ってきた患者さんは一人もいません。なぜなら入院前は普通に自宅で生活できていたのですから。
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内田院長 | さくら在宅クリニック (shounan-zaitaku.com)
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