在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 34

がん患者さんにおける、高カルシウム血症の症状は 便秘、嘔気・嘔吐、倦怠感、食欲低下であり、こうした分かり易い病態でなく いらいら、意識障害、筋力低下などの症状が出現する場合もあります。 診断は、簡易補正値=実測値4-アルブミン値にて行い ➤14以上…

高齢者不眠に対する考察~高齢者の夜は長い

,"entityRanges":,"data":{}},{"key":"9diqq","text":"まずは睡眠の具体的な状態を詳しく聞きます。睡眠に関して聞くべき点は①眠剤の内服時間②就寝時間③入眠までの時間④中途覚醒の有無\n⑤起床時間⑥昼寝の有無⑦日中の覚醒状態などです。","type":"unstyled","…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 33

がん患者さんにおいて、高カルシウム血症は、しばしば認める病態です。 原因としては ①がんの骨転移・浸潤:骨の融解によるもが最も多く ②扁平上皮がん:PTH-related protein自体にて高カルシウム血症を引き起こす場合もあります。 ③リンパ腫など:活性化ビタミ…

認知症の妙薬2

前回運動による認知症予防効果について触れたのですが、逆の研究結果がBMJ. 2017 Jun 22;357に掲載されています。 内容は認知症を発症した患者とそれ以外の参加者の間で、追跡期間中の1週間あたりの総運動時間、低強度の運動をした時間、中~高強度の運動を…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 32

広い意味での抗がん剤治療における緊急症において在宅診療医、内科医が遭遇する確率はあまり高くないかもしれません。 上記に一覧を挙げましたが、在宅診療にて遭遇した症例は、重篤な下痢、ニューモシスチス肺炎のみです。こうした治療行う中で、抗がん剤治…

認知症予防の妙薬その1

,"data":{"textAlignment":"left","dynamicStyles":{"line-height":"2.16"}}},{"key":"figs0","text":"1日1時間のウォーキングで認知症リスク低下するか否かという研究結果を見てますと。","type":"unstyled","depth":0,"inlineStyleRanges":,"entityRanges"…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 31

がん緊急症として 免疫チェックポイント阻害薬による自己免疫疾患の想起はとても重要です。 骨転移などでデノスマブ>ゾレドロン酸なども使用されている場合は、カルシウム値の評価にて低カルシウム血症に注意する必要があります。 ビンカアルカロイド、シス…

GPT-4×在宅診療:GPT-4にて患者さんとのコミュニケーションを更なる深化へ

LINEにGPT4搭載させてみました(*患者様専用QRにて提示のQRは読み込めない形に編集しおります)。 仮説・目的は、患者さんとのコミュニケーションをAIにてより深くできるか?であり、目的は患者さんとのコミュニケーションの更なる深化です。 在宅診療におい…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 30

ここから、少し総論へ戻りがんの緊急症に関して詳述していきます インフュージョンリアクション・アナフィラキシー これは、在宅診療で経験することはないものです。治療薬により急性症状としてのショックです。 タキサン製剤では 神経症状(巣症状、頭痛、ふ…

在宅診療における胸水管理について

在宅診療において担癌患者さんには胸水貯留に伴う呼吸苦ある患者さんがいます。最近在宅診療において胸水の排液(間歇的、持続的いずれも)を行う患者さんが増え、常に当院でも胸水ドレナージ行う患者さんがいる為、少しまとめてみます 胸水貯留の患者さんにお…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 29

肺がんの合併症に関しては転移する場所によりその症状は変わります ・骨の場合:骨痛、高カルシウム血症を生じ ・脳、がん性髄膜炎の場合:神経症状(巣症状、頭痛、ふらつき、精神症状、けいれん、倦怠感)を生じます ・がん性胸膜炎:胸水による呼吸困難 ・が…

ヒートショック現象

日本家屋は非常に寒い。木造家屋が多いためお風呂やトイレなど肌が露出する場所での気温が非常に低い場合が多い。元野球監督であり評論家である野村克也さんがお風呂場で亡くなっているのが見つかったなども記憶に新しいところです。推定でヒートショックで…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 28

VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)にはVEGF class effectと呼ばれる 血管新生阻害薬に共通する作用と副作用が存在します。 VEGFの効果は ・腫瘍縮小 ・内部壊死 ・浮腫改善 ・胸水改善 非重篤なもの 頻発するものは ・高血圧 ・タンパク尿 ・甲状腺…

TBSテレビNEWS DIGより取材頂きました

TBSテレビNEWS DIGより当クリニックが取材をうけました。 人生の最期が御自宅で過ごせるサポートをこれからも続けてまいります。 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/558296 在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 27

肺がんの治療の副作用として 〇殺細胞薬には、骨髄抑制による発熱性好中球減少症・感染症があります。一般的な抗がん剤の副作用としてイメージしやいものです。 プラチナタブレット、シスプラチン、タキサンなどが挙げられます。 〇分子標的薬は間質性肺炎が…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 26

小細胞がんの治療に関して詳述してまいります。 小細胞がんは基本的に取りきれない癌にて、手術での根治は困難ですがTrue stage Ⅰと呼ばれるステージでは、切除+術後補助化学療法にて根治の可能性もあります。 次に限局型は、化学放射線療法(ケモラジ)にて生…

安易な抗生剤の使用を止めるべき理由

日本人は無類の薬好きです。高齢者で薬を内服していない患者さんを診るのは年に数回くらいかもしれません。そして安易な投薬の危険に関してバイオアベイラビリティの観点から。バイオアベイラビリティとは、服用した薬剤が全身循環に到達した割合を示した値…

横浜市立大学教授 高橋先生との依頼講演のお知らせ

,"entityRanges":,"data":{}},{"key":"cirko","text":"以前書いた、脳梗塞の拡大抑制仮説の論文に関する話が主で、現在主戦場である在宅医療から少し離れますが、目の前の患者さんを大切にしながら、将来の治療に結び付く医療研究も地道継続したいと考えてお…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 25

肺がんの化学療法において、Driver mutaion(ドライバー遺伝子変異)と 癌化と癌の増殖に重要な特定の遺伝子変異が分子標的薬おいて効果があることが分かってきました。分子標的薬は遺伝子産物の働きを抑制し腫瘍の増殖を抑える高い効果を示し、転移・進行がん…

介護用ベッドを借りる方法

在宅医療をするには介護保険に精通しておかなければなりません。在宅医療の患者さんは基本的に外来に通うことが難しい患者さんです。なので、当然ベッドでの生活が多くなります。ここで、当然のようにベッドと書きましたが、畳の上に布団を敷いて寝起きする…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 24

非小細胞がんのⅢB~Ⅳ期における治療は切除不能であり、化学療法が主体となります。これに新たな治療薬として、2015年以降免疫チェックポイント阻害薬が使用できるようになりました。 具体的なレジメは、ニボルマブ(オブジーボ)においては 投与量は3mg/kg、投…

高齢者が食べれなくなったら

老衰の末期や末期がんなどで食べられなくなった患者さんを自宅で診ている場合に食べれなくなったら何もしないという選択があります。但し、こうした選択が中々踏み切れない場合があります。やはり何もしないという選択は心情的に選択しにくいものです。そう…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 23

非小細胞がんのⅢB~Ⅳ期における治療は切除不能であり、 化学療法が主体となります。 具体的な標準としてはプラチナベース(プラチナタブレット)であり、プラチナ製剤にタキサン、ゲムシタビンなどを併用(腺がんはペメトレキセド)します。奏効率30%であり、SD…

患者様宅でのレントゲン撮影可能となりました

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がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 22

非小細胞がんの治療に関して Ⅰ-ⅢA期までは手術+化学療法となります ⅢB期は化学放射線療法です Ⅳ期は化学療法+緩和ケアとなります 在宅での治療を希望しながら化学療法の併行は非常に多くなっているので、少し細かい知識ですが、化学療法の詳細について下記…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 21

内田院長 | さくら在宅クリニック (shounan-zaitaku.com) #さくら在宅クリニック #肺癌 #肺癌の分類 #小細胞がん #非小細胞がん #免疫チェックポイント阻害薬 #在宅医療医に必要ながん治療に関する知識 #逗子、葉山、横須賀市、鎌倉市、横浜市の在宅…

高齢者の風邪

一般的に風邪にはPL顆粒(総合感冒薬)がよく処方されると思いますが、この薬は高齢者には特に危険です。PL顆粒1g(1回分)にはプロメタジンメチレンジサリチル酸塩という副作用が多いため今ではあまり使われなくなった第一世代の抗ヒスタミン薬が13.5mg入…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する 20

非小細胞癌の特徴は✓全肺癌の8割 ✓手術後の再発多く再発後は予後不良です。 非小細胞がんの5年生存率の性別、ステージごとに 男性 40.8% 女性 61.0% Ⅰ期(ステージ1) 84.1% Ⅱ期(ステージ2) 54.4% Ⅲ期(ステージ3) 29.9% Ⅳ期(ステージ4) 8.1% となります。また…

間違いだらけのリハビリテーション

新版 間違いだらけのリハビリテーション 「起立-着席運動」のすすめ | 三好 正堂 |本 | 通販 | Amazon リハビリは30年前と比べて治療成績が悪くなっているとのことです。 筆者はその理由は、額に汗する地道な治療が少なくなってきたためではないかと言います…

がん緩和ケア+在宅医療医に必要ながん治療に関する知識を科学する19

ここから、がんの各論に関して詳述してまいりますまず肺がんの総論として ・予後不良の疾患である治療においては免疫チェックポイント阻害薬により、ブレイクスルーが起こっています。特に非小細胞がんは免疫チェックポイント阻害薬が承認され活発な研究が進…