在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2019-01-01から1年間の記事一覧

詫磨先生 赴任

少し遅れましたが横須賀うわまち病院が、今後久里浜(三浦半島南端)へ移転することになりました。 ノンビリスローライフ脳外科生活も悪くないのですが、まだまだ発展途上の身としては、久里浜移転追従はチョットと考え勤務先を千葉脳神経外科病院へ。 半分千…

血管内治療における憂鬱

血管内治療における動脈瘤の治療において、治療の引き際というのはいつも迷うところです。 動脈瘤に出来る限りコイルを詰めて完全閉塞を目指せば、再破裂の確立は低くなります。 しかし、必要以上にコイルを詰めて術中破裂や塞栓性合併症(治療によって脳梗塞…

脳動脈瘤に対する血管内治療

脳動脈瘤にコイル塞栓術を行っているイラスト この図は動脈瘤を治療する為コイルを挿入しているところです。 動脈瘤という血管のコブにコイルという髪の毛より細い金属の線を充填して、血流を遮断し動脈瘤内へ血流が来ないようにしている様子です。 実際の治…

Stroke 2019:未破裂中大脳動脈瘤において血管内治療v.s開頭手術

今、個人的に常々考えているのは未破裂中大脳動脈瘤に対し どの様な場合に血管内治療を選択すべきか? これを脳卒中学会のシンポジウムでセッションが行われていました。 因みに上記の表はNeurosurg Rev. 2014から引用したものです。 これによると完全閉塞の…

動脈瘤の治療について

未破裂脳動脈瘤における治療法の一つとして、クリッピング術があります。 本治療は長い歴史があり、長期の成績も安定しています。具体的には、脳と脳のすきまを少しずつ剥離(はくり)し、動脈瘤の根元を「クリップ」ではさむ方法です。話だけ聞くと怖いです…

脳動脈瘤の破裂率

動脈瘤の年間破裂率は決して高くはありません。 但し、これを生涯の破裂率として考えると、それほど低くないなぁというのが正直な印象です。 例えば50歳の女性に動脈瘤が見つかったとすると。女性の平均寿命は80歳後半です。つまり単純計算では余命30年以上…

脳動脈瘤とは

患者さんにクモ膜下出血です。 動脈瘤があります。 と説明する際に、そもそもクモ膜下出血とはという根本的なお話をさせて頂きます。 まず、脳動脈瘤とはは文字通り、脳の動脈の一部がふくれあがり、「こぶ」になっていることです。「こぶ」の漢字が「瘤」で…

クモ膜下出血後の再発

現在、クモ膜下出血の治療はカテーテルによる治療と開頭による治療があります。 私は、基本的にどちらも行えるスタンスで患者さんにお話しさせて頂いています。 その中で再発という問題もよく質問されます。 治療後の再発率は、コイリングを行ったか、クリッ…

塞栓性梗塞に対する内服予防について

新しい経口抗凝固薬をNovel oral anticoagulant (NOAC)と呼んできましたが、最初のNOACの発売後8年が経過し、最近ではDOAC呼ばれるようになりました。。一覧表を少し古い脳神経外科速報から持ってきました(プラザキサに関しては既に中和薬が発売されますが)…

今年最初の論文掲載

今年最初の論文掲載です。日本語ですし、内容も内科の先生からすればさほど珍しい症例でないそうです。しかし、脳外科医として働いていると時に眼窩内腫瘍に遭遇し、これは何だ?と診断に迷う場合あります。この疾患も当初MALTリンパ腫という病理診断にて危…

脳外科二刀流

千葉脳神経外科にて血管障害を中心に日々臨床に勤しんでおります 脳外科の世界は、血管内治療の進歩により患者さんにより優しく安全な治療が提供出来るようになりました もちろん、この進歩はまだまだ続き数年前の治療やデバイスが古く感じるくらい大きな変…