在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

腰椎圧迫骨折について

腰椎圧迫骨折は、高齢の女性で非常によく見られる病状です。最近では、芸能人で松本伊代さんが圧迫骨折を受傷したと報道がありました。女性の身体は、40前後から大きく変化していくので、圧迫骨折は決して高齢者に限られた病気でないことを思いしらされました。骨の脆さを評価するには、正確に骨密度を測定する必要があります。

これにはDXA(dual-energy X-ray absorptiometry)評価必要であり、腰椎と大腿骨近位部を測定しなくてはいけません。こうした患者さんでカルシウムのサプリを摂られている方を時々お見受けします。骨粗鬆症の治療ガイドラインで、カルシウム薬はエビデンスレベルが低く、心血管合併症などの報告もあります。骨粗鬆症の治療薬として活性型ビタミンD製剤(エディロール0.5μg)を処方することが多いのですが、エディロールは、消化管からカルシウムの吸収を促進させ、骨密度を上昇させ、椎体骨折を抑制するというエビデンスがあります。一方で、高Ca(カルシウム)血症のリスクがあります。エディロールにカルシウム製剤を併用すると、さらに高Ca血症のリスクが高まります。ちなみに高Ca血症となると、脱水(口渇、多飲、多尿)、食欲低下、倦怠感、便秘といった症状がみられ、進行すると意識障害、腎障害を呈することもあります。高齢者の意識障害は非常によく見られる病態ですが、こうした内服のチェックも必要となります。

写真は逗子在住山内明徳様撮影