2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧
~太さ・深さ・走行を“見える化”する意味~ 点滴や輸液のために末梢静脈カテーテルを留置したのに、「点滴が落ちない」「腫れてきた」「発赤がある」「痛い」などの理由で抜去せざるを得なくなることがあります。これらは総称して**末梢静脈カテーテル中途抜…
パーキンソン病は進行に伴い、薬(特にレボドパ)の効き目が安定せず、「動ける時間」と「動けない時間」がはっきり分かれてしまうことがあります。これを 「オン・オフ現象」 と呼びます。 このような症状に悩む方のために、近年日本でも使えるようになった…
抗認知症薬は「効果があるかどうか」を国内外の臨床試験で検証して承認されました。ここでは日本で行われた治験データをもとに、ガランタミン・リバスチグミン・メマンチンの実際をまとめます。 ガランタミンの治験結果 国内で2回大規模試験(GAL-JPN-3、GAL…
抗認知症薬ドネペジルは、日本で行われた複数の臨床試験を経て承認されました。その過程をたどると、なぜ現在の用量設定になっているのかが見えてきます。 軽度~中等度アルツハイマー病での試験(表5) 2mg/日(131-A・132試験) → 有効性なし(プラセボと…
抗認知症薬を始めるとき、患者さんやご家族から必ず聞かれるのが「どのくらい効くのですか?」という質問です。 その答えに使えるのが 国内治験データ です。海外データよりも日本の実臨床に近い形で行われており、より参考にしやすいと考えられます。 抗認…
抗認知症薬は大きく分けて コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン) NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)の2種類があります。 それぞれの効果に大きな差はないため、選ぶ際には 副作用のリスクや薬価(費用) などが重要な判断材…
認知症の治療薬には大きく分けて 2つのタイプ があります。 1. コリンエステラーゼ阻害薬 ドネペジル ガランタミン リバスチグミン アセチルコリンという神経伝達物質の分解を抑えることで、脳内の働きをサポートし、症状の進行を遅らせる作用があります。 2…
先日、べっぷ在宅・訪問クリニック の小手川理事長が、当クリニックへ見学にお越しくださいました。 往診にもご同行いただき、多くのご質問を交えながら熱心にメモを取られる姿がとても印象的でした。臨床に真摯に向き合うその姿勢に、私自身も大きな刺激を受…
適用範囲の違い 抗認知症薬は大きく4種類ありますが、それぞれ使える病気や進行度が異なります。 ドネペジル:軽度・中等度・高度のアルツハイマー病+レビー小体型認知症 ガランタミン:軽度~中等度のアルツハイマー病のみ リバスチグミン:軽度~中等度の…
ダットシンチ(ドーパミントランスポーターシンチグラフィ)とMIBG心筋シンチグラフィ ダットシンチとは? ダットシンチは、脳の「黒質線条体ドーパミン神経」に存在する ドーパミントランスポーター(DAT) を画像化する核医学検査です。MRIや脳血流シンチ…
末梢静脈カテーテル(PIVC)は臨床現場で広く用いられる処置ですが、安全で確実に行うためには血管の解剖や穿刺部位の選択ポイントを理解しておく必要があります。ここでは前腕の解剖を中心に解説します(図2)。 ① 前腕の静脈の解剖 末梢静脈カテーテル留置…
末梢静脈カテーテルとは 末梢静脈カテーテル(Peripheral Intravenous Catheter:PIVC)の留置は、看護師が日常的に行う医療行為の一つです。しかし、これは決して簡単な処置ではなく、患者への苦痛を最小限に抑えつつ、安全に実施するための高い技術力が求…
褥瘡の治療において、壊死組織を除去する「デブリードマン」は重要な処置の一つです。特にシャープデブリードマンは鋭利な器具を用いるため、不要な出血を避ける工夫が求められます。ここで有用なのがカラードプラエコーによる血流評価です。 ① 不要な出血を…
実際の観察 初回のエコーでは、褥瘡部を中心に広範囲を観察し、異常所見の有無を確認します。異常所見を認めた場合には、その位置をシェーマや写真に記録し、縦断走査・横断走査で静止画と動画を残します。動画は後から解析できるように、ゆっくり撮影するの…
">患者様に深く寄り添える在宅医療の道を志し、私たちの仲間になってくださいました。 仲間が増えるということは、新しい風が吹き込み、同じ目標に向かって歩む力がさらに大きくなるということです。私たちは「患者様第一」という理念のもと、仲間と共に挑戦…
褥瘡の評価において、エコー検査は表面からではわからない内部情報を得るための有効な方法です。ここでは、褥瘡部を観察・評価する手順と実際の注意点を整理します(図3) 。 Step1:観察目的の明確化 エコー検査の目的は大きく2つに分けられます。 初回重症…
褥瘡の観察は、これまで視診や触診が中心でした。しかし、表面からでは深部の状態を正確に把握できないことも多くあります。エコー(超音波検査)を用いることで、以下のような内部構造を可視化でき、褥瘡評価の精度が高まります。 深部組織損傷(DTI) 皮下…
便秘の評価に超音波を用いると、直腸診のように患者さんへ負担をかけずに、糞便の状態を把握することができます。今回は「結腸」と「直腸」における糞便の貯留と、そのケアの考え方について整理します。 結腸に糞便が貯留しているとき 結腸に過剰な糞便が貯…
レビー小体型認知症 レビー小体型認知症(DLB)の脳血流低下パターンはアルツハイマー病と似ていますが、後頭葉の血流低下が特徴です。ただしPETでの糖代謝低下に比べると診断力は劣ります。 研究では、DLB患者23人・アルツハイマー病患者50人・健常者20人を…
脳血流シンチグラフィとは? 脳血流シンチグラフィは、脳の血流を画像で評価する検査です。主に以下の目的で使われます。 神経変性疾患(アルツハイマー病など)の鑑別 脳血管障害の評価 てんかん焦点の検出 認知症の多くは神経変性疾患か血管性認知症に分類…
VSRADとは? VSRAD(Voxel-based Specific Regional Analysis system for Alzheimer’s Disease)は、MRI画像から**内側側頭葉(海馬や海馬傍回など)**の萎縮の程度を数値化し、アルツハイマー病の早期診断を支援する解析ソフトです。結果は「Zスコア」で表…
正常圧水頭症とは 正常圧水頭症(NPH)は、頭蓋内に脳脊髄液が余分にたまっているにもかかわらず、脳圧が正常範囲内に保たれている病気です。原因としては、くも膜下出血や頭部外傷後に起こる続発性と、原因がはっきりしない特発性があります。 主な症状は次…
認知症診断における画像検査の役割 認知症の診断に、脳血流シンチグラフィやドーパミントランスポーターシンチ(ダットスキャン)といった脳機能画像は必須ではありません。多くの診断ガイドラインでは、疑い例に安易に脳機能画像を行わず、治療方針が変わる…
前頭側頭葉変性症(FTLD: Fronto-Temporal Lobar Degeneration)は、前頭葉や側頭葉が徐々に萎縮することで起こる認知症の総称です。アルツハイマー病に次いで多い神経変性型認知症で、症状やタイプは多様です。 主なタイプ(表16) (行動異常型)前頭側頭…
レビー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー病に次いで多い認知症の一つです。脳の神経細胞内に「レビー小体」という異常なたんぱく質の塊(主成分:αシヌクレイン)がたまることで、認知機能や運動機能に影響を及ぼします。 レビー小体は、パーキンソン病…
便秘のアセスメントにおいて、直腸内の便の有無や性状を正確に評価することは非常に重要です。従来の直腸診は不快感や羞恥心のリスクも伴いますが、エコー(超音波)検査なら非侵襲的に直腸の状態を可視化することができます。 直腸を“見える化”する基本構造…
便秘を正確に評価するには、糞便の「貯留部位」「量」「性状」まで把握することが重要です。そこで有効なのが、超音波(エコー)を用いた結腸・直腸の観察です。この記事では、解剖的知識を踏まえた描出法や画像の見方について、現場で役立つポイントをまと…
便秘は多くの患者にとって身近な問題ですが、適切な評価がなければ「見逃し」や「誤ったケア」によるリスクも存在します。今回は、エコーを活用した便秘評価について解説します。 なぜ便秘評価に“エコー”が必要なのか? 便秘は排便回数だけで判断してはいけ…
はじめに 嚥下障害のケアでは、「誤嚥」や「咽頭残留」を的確に捉えることが非常に重要です。近年、**エコー(超音波)**を用いた嚥下観察が注目されており、ベッドサイドでも簡便に実施できる非侵襲的な評価手段として普及しつつあります。この記事では、エ…
VFやVEといった専門検査が難しい環境でも、**超音波検査(エコー)**を用いれば、非侵襲的かつリアルタイムに嚥下機能の観察が可能です。 嚥下の5期モデルとエコー観察の関係 嚥下は大きく5つの時期に分けて捉えられます(図4参照): 先行期(認知期):食…