在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療におけるせん妄の対応

在宅診療においてせん妄の治療への習熟は非常に重要です。また、認知症患者さんを自宅で診れるか否かの重要な要素でもあります。そうした中でお勧めの良書、というかこれを頼りにせん妄に対する治療行っています『せん妄診療実践マニュアル 井上真一郎 羊土社』。本の帯には、「日本をリードする岡山大学病院精神科リエゾンチームの診療ノウハウを余すことなく一挙公開!!」とあります。

一読すると、内容は至極真っ当で、良書です。

せん妄には、直接因子(引き金になる)、準備因子(起こりやすい素因)、促進因子(促進・遷延化させる)の3つの因子があり、せん妄治療は、直接因子と促進因子を取り除くことから始めると書かれています。

つまりせん妄対策は引き算が大原則であり、薬物治療は対症療法に過ぎないのです。このことは本書では特に強調されています。

とは言っても、最終的には薬物も使わなければなりませんが、薬の使い方に関しても具体的に書かれていて分かりやすいです。

当院でよく処方している、トラゾドン、クエチアピンは本書でも推奨されています。

高齢者というだけでせん妄のリスク因子です。高齢化社会を迎えている日本では、せん妄は、医療従事者にとって避けては通れません。

その意味で、医療従事者すべてに勧められる本ですhttps://www.shounan-zaitaku.com

写真は逗子在住山内明徳様撮影