在宅医療の現場では、X線やCTといった画像診断がすぐに使えない場面も多くあります。
そんなとき、**肺エコー(Lung Ultrasound/LUS)**が大きな力を発揮します。特に、通院困難な高齢者や寝たきりの方において、肺炎による呼吸苦や発熱の鑑別に有効です。
🔍 肺エコー検査の実施方法
🔸 プローブの種類と使い分け
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凸型(コンベックス)プローブ:肺全体の観察に向いており、在宅では最も汎用性が高い
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リニアプローブ:胸膜下や浅部の観察に適しており、胸水や胸膜炎の評価にも有効
🔸 プローブを当てる部位
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前胸部・側胸部・背部を左右それぞれ観察(合計6〜8ゾーンを目安)
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背部の観察は特に重要:高齢者や寝たきり患者では背側に病変が出やすいため
🫁 肺炎を示唆するエコー所見
🔸 「Bラインの多発」とは?
Bラインは、胸膜から垂直に走る高輝度のアーチファクトで、エコー画面の下まで伸びる線状の像です。
✅ 出現する主な病態:
✅ 所見の特徴:
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正常肺:水平な「Aライン」が主体
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異常肺:1視野に3本以上のBラインで「多発」と判断
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分布:びまん性(心不全)/局所性(肺炎など)で異なる