在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療における高齢者の食思不振について

いつの時代もダイエットは、流行っています。

僕自身学生時代はラグビー部所属していたので、ケガをしないよう筋トレで体重増やしていた時期と、研修医時代に体重が8-10kg落ちた時期を除き多少の増減はありますが、最近20年は±1.5kg以内の変動です。

しかし、在宅での高齢者の患者さんは、食べれないことに対する戦いです。

これは病院勤務時も同様ですが、食欲不振となっている原因の疾患を治療するのはもちろんですが、ここでは老衰末期状態、末期癌患者さんに対し何らかの対策が必要です。
やはり、引き出しは多くある方が心強いです。

①減薬
食欲不振の状態なので、薬も飲めなくなっていて自然に減薬されていることもありますが、まずはできるだけ最小限の薬に絞り込みます。
減薬するだけで食欲が回復することがあります。
特にアリセプト、レミニールなどのコリンエステラーゼ阻害薬は中止します。

ドグマチール
ドグマチール錠50mg1錠 分1
食欲不振に対するドグマチールの処方は時代遅れになってきているようです。処方するにしても1錠以上は処方しません。添付文書どおりに3錠 分3で処方すると、錐体外路症状がでる危険性があるからです。

③プロマックD
プロマックD錠75mg 2錠 分2
食欲不振の原因が亜鉛不足による味覚障害のためと考えられる場合は、亜鉛を補充する目的でプロマックDを処方します。

④ラコール、エンシュア
全く食事がとれない状態でも、ラコールやエンシュアさえ飲んでいれば何とかなります。ラコールやエンシュアを使いこなすことが、終末期医療を成功させる鍵となってきます。下痢や高カリウム血症の副作用に注意が必要です。

リフレックス、レメロン
リフレックス錠15mg 1/2錠 分1 就寝前
抗うつ薬です。眠気と体重増加の副作用を利用します。不眠もある方に、夜間に寝てもらいつつ、体重増加を狙います。制吐作用もあるので、嘔気のある末期癌患者さんにも適しています。患者さんによって合う合わないがはっきりしている薬です。

ジプレキサ
ジプレキサザイディス錠2.5mg 1錠 分1 就寝前
抗精神病薬です。制吐作用があるので、嘔気がある方に適しています。副作用である体重増加を利用します。半減期が長いので日中に残ってしまうかもしれません。高齢者には2.5mgくらいがちょうどよいです。

補中益気湯六君子湯
そもそも食欲不振の状態で漢方薬を飲むのは大変なので、あまり処方することはありませんが載せておきます。

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