在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

【ブックレビュー】『科学的認知症診療 5Lessons』──「薬を使わない」という選択肢を考える

認知症の診療に悩むすべての医療・介護関係者にとって、非常に示唆に富む一冊があります。
それが、小田陽彦先生による
📖 『科学的認知症診療 5Lessons』(日本医事新報社)。

この本の中心にあるメッセージは、
**「一般臨床医が安易に抗認知症薬を処方すべきではない」**という明確な提言です。

筆者としても、この意見には深く共感します。
病院勤務時代、抗認知症薬が一般内科から“ごく普通に”処方されている場面に何度も遭遇しました。
しかし、「効いていますか?」と尋ねて、明確に効果があったという返答を聞いたことはありません


認知症薬は誰にでも効く薬ではない

認知症には多様な病型があり、薬が有効なケースとそうでないケースがはっきり分かれています。
にもかかわらず、認知症=薬を出す」という思考停止的な対応が、今なお現場では見られます。

この本では、抗認知症薬の副作用リスクや、日本での承認過程の問題点にも触れられており、
その批判は単なる私見ではなく、しっかりとした科学的根拠(エビデンス)に裏打ちされています。


数字と論文で語る、納得の一冊

たとえば、

  • レビー小体型認知症で幻視が出現する確率は70%」 など、具体的な数値と出典論文が随所に示されており、読者の納得感を高めてくれます。

また、以下のようなトピックにも丁寧に触れています:


同シリーズの推薦本と合わせて読みたい!

同じ出版社からは
📘『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』という好著も出ていますが、
構成や論理展開は本書と非常に近く、
本書の副題をつけるならば、
認知症診療で強力な武器を持つためのエビデンス」といえる内容です。


YouTubeでもわかりやすく解説中!

📺 内田賢一のYouTubeチャンネル では、
このような「薬に頼らない認知症ケア」について、在宅医療の視点からわかりやすく解説しています。
こちらもあわせてご覧ください。


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