認知症の診療に悩むすべての医療・介護関係者にとって、非常に示唆に富む一冊があります。
それが、小田陽彦先生による
📖 『科学的認知症診療 5Lessons』(日本医事新報社)。
この本の中心にあるメッセージは、
**「一般臨床医が安易に抗認知症薬を処方すべきではない」**という明確な提言です。
筆者としても、この意見には深く共感します。
病院勤務時代、抗認知症薬が一般内科から“ごく普通に”処方されている場面に何度も遭遇しました。
しかし、「効いていますか?」と尋ねて、明確に効果があったという返答を聞いたことはありません。
抗認知症薬は誰にでも効く薬ではない
認知症には多様な病型があり、薬が有効なケースとそうでないケースがはっきり分かれています。
にもかかわらず、「認知症=薬を出す」という思考停止的な対応が、今なお現場では見られます。
この本では、抗認知症薬の副作用リスクや、日本での承認過程の問題点にも触れられており、
その批判は単なる私見ではなく、しっかりとした科学的根拠(エビデンス)に裏打ちされています。
数字と論文で語る、納得の一冊
たとえば、
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「レビー小体型認知症で幻視が出現する確率は70%」 など、具体的な数値と出典論文が随所に示されており、読者の納得感を高めてくれます。
また、以下のようなトピックにも丁寧に触れています:
同シリーズの推薦本と合わせて読みたい!
同じ出版社からは
📘『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』という好著も出ていますが、
構成や論理展開は本書と非常に近く、
本書の副題をつけるならば、
「認知症診療で強力な武器を持つためのエビデンス」といえる内容です。
▶ YouTubeでもわかりやすく解説中!
📺 内田賢一のYouTubeチャンネル では、
このような「薬に頼らない認知症ケア」について、在宅医療の視点からわかりやすく解説しています。
こちらもあわせてご覧ください。
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