在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

アムロジピンの意外な副作用 ― 処方カスケードを防ぐために

高血圧治療において最もよく使用される降圧薬のひとつ、アムロジピン(商品名:アムロジン、ノルバスク)。
しかし、その「使いやすさ」と引き換えに、見落とされがちな副作用がいくつか存在します。これらを知らずに対処しようとすると、別の薬を追加してしまう「処方カスケード」につながってしまうことがあります。

① 胃食道逆流症(GERD)の悪化

アムロジピンは血管だけでなく、下部食道括約筋まで緩めてしまうことがあります。
このため、**GERD(胃食道逆流症)を悪化させることがあり、特にアムロジピンでは61.3%**と高率です(参考:ジルチアゼムでは12.5%)。
PPIプロトンポンプ阻害薬)で対応してしまうと、まさに処方カスケードです。

💡対策:GERDのある患者さんでは、アムロジピン以外の降圧薬を検討するのが望ましいでしょう。


② 浮腫(むくみ)

アムロジピンの代表的な副作用のひとつが足の浮腫です。
長期投与でリスクが高まり、特に高齢者では顕著になります。

💡対策

  • シルニジピン(商品名:アテレック)など浮腫が起こりにくいカルシウム拮抗薬へ変更

  • または、ACE阻害薬・ARBなど別の系統の降圧薬への切り替え

※ここでも、むくみに利尿薬(特にループ利尿薬)を追加するのは処方カスケードに要注意です。


③ 頻尿・夜間頻尿

アムロジピンは、夜間頻尿や尿意切迫感を引き起こすことがあります。
これもまた、別の薬(頻尿治療薬など)を追加してしまいやすいポイントです。

💡対策
頻尿が出現したら、降圧薬との関連性をまず疑いましょう。


まとめ:薬の「副作用」に薬を足さないために

GERD、浮腫、頻尿……。
これらの症状がみられたとき、「高齢だから仕方ない」と片付けてしまう前に、「アムロジピンの副作用では?」と立ち止まって考えることが大切です。

薬を増やさず、原因となっている薬を見直す。それが、処方カスケードを防ぐ第一歩です。


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📷 写真提供:逗子在住 山内明徳様


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