在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

【喘息とCOPDが両方ある?】「ACO」という病態をご存じですか?

画像が生成されました「咳が長引く」「季節の変わり目に息苦しくなる」「昔はぜんそくと言われたけど、最近はCOPDと言われて…」
そんな方が対象となる可能性があるのが ACO です。


ACOとは?

**ACO(Asthma-COPD Overlap)**とは、
ぜんそく」と「COPD慢性閉塞性肺疾患)」の両方の特徴を持つ病態です。

もともと別々と考えられてきた疾患ですが、
中年以降になると両者の境界が曖昧になってくることがあります。
そんな患者さんを適切に治療していくために「ACO」という概念が生まれました。


ACOと診断される人の特徴とは?

■ 基本条件

  • 40歳以上

  • 気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1%)が70%以下

この条件でCOPDに該当します。
そのうえで「ぜんそくらしさ」が残っている場合に「ACO」と診断されます。


COPD的な要素(どれか1つ以上)

  1. 喫煙歴(例:1日20本 × 10年以上=200)
     または同程度の受動喫煙

  2. 胸部CTで気腫性変化を認める

  3. 肺拡散能障害がある
     (これは専門的検査が必要なので、一般の方や非専門医にはわかりづらい指標です)


ぜんそく的な要素(以下のいずれかを満たす)

【大項目】3つのうち2つ以上、または大項目1つ+小項目2つ以上

大項目

  1. 変動性・発作性の呼吸症状(咳、痰、息切れなど)

  2. 40歳以前のぜんそくの既往

  3. 呼気中の一酸化窒素(FeNO)が35ppb以上

小項目

  • 通年性アレルギー性鼻炎

  • 気道可逆性あり(吸入後に肺機能が改善)

  • 末梢血好酸球比率>5% または 絶対数>300/μL

  • IgE高値(アレルギー体質を示す)


ACOの治療は?

ACOでは両方の病態があるため、治療も吸入ステロイド+LAMA+LABAといった組み合わせが選択されることが多いです。

実際の臨床でも、私自身が多くの患者さんにこの3剤併用を行っています。


◆ 予防のカギは「禁煙」

若いころにぜんそくの治療を受けていた方でも、早めに禁煙していればACOに進展しなかった可能性もあります
呼吸器疾患は、治療も大切ですが「日常生活での予防」が非常に重要です。


YouTubeでもわかりやすく解説中!

🌿 在宅医療・呼吸器疾患の解説をYouTubeで学べます!
ぜひこちらからご覧ください。
内田賢一 - YouTube


ハッシュタグ

#ACO #喘息 #COPD #呼吸器内科 #在宅医療
#逗子 #葉山 #横須賀市 #鎌倉市 #横浜市
#さくら在宅クリニック #shounan_zaitaku