在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅診療における敗血診断

敗血症とは血液が敗ける症(病)であり、血液の中に菌が繁殖している病気と考えて下さい。血液中に菌が繁殖しているのですから、病気としては大変重篤です。

こうした場合、SOFAというスコアがあります。このスコアでは採血結果所見が必要です。在宅医療ではすぐさま採血結果が分からないことより、臨床症状から判断するしかありません。こうした敗血症に対しqSOFA(Quick Sequential Organ Failure Assessment)という診断ん基準があります。

呼び方はクイックソーファです。具体的には感染症を疑った場合、以下の3項目のうち、2項目を満たす場合は敗血症の可能性ありと判断できます。

①呼吸数 22回/分以上

②意識変容(GCS 15未満)

収縮期血圧 100以下

このスコアのすごいところは、全てバイタルサインだけで判断できることです。感染症のスコアであるにもの関わらず体温≧38度または≦36度などの発熱などの要素が入っておりません。高齢者においては、時に平熱が低い場合もあり感染症診断に発熱が決めてとならないことがあります。なので逆に体温が低いというのも重症感染症の要素として≦36度という因子もあります。採血結果をすぐにみることができない訪問診療では、とても頼りになる指標です。ただし認知症がある高齢者などでは、最初からGCS15未満に引っかかってしまうので、普段の意識レベルと比べてどうなのかをみることが大事です。つまり呼吸数増加や意識変容、血圧低下をともなう発熱は敗血症の可能性があるということです。敗血症診断をこうしたスコアで疑った場合は、速やかに連携医療機関で治療を始めなければなりません。

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写真は逗子在住山内明徳様撮影