在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

高齢者の薬の量の調整について

高齢者は腎機能が低下している方が多く、腎臓で代謝される薬を内服した場合、薬の血中濃度が上がってしまうため、腎機能によって薬の量を調整する必要があります。腎機能が低下しているかどうかが分かるのは血清クレアチニン値ですが、クレアチニンは筋肉の代謝産物のため、筋肉量の少ない高齢者では低く出てしまい、実際の腎機能を反映しません。腎機能を正確に評価するためには、クレアチニンリアランスを測定しなければなりません。実際に、添付文書では、クレアチニンリアランスを元に薬の投与量が設定されていることが多いです。

クレアチニンリアランスを調べるのは大変ですが、下記の式(コッククロフト・ゴールトの式)で推定できます。

クレアチニンリアランス推算式
男性:(140−年齢)×体重(kg)/(72×血清クレアチニン値)  
女性:(140−年齢)×体重(kg)/(72×血清クレアチニン値)×0.85

この計算式は覚える必要はなく、ネット上やアプリに計算ツールはたくさんあるので、簡単に求めることができます。

血液検査の報告では、自動的にeGER(推算糸球体濾過量)が出てきますが、この値をクレアチニンリアランスとしてしまうと失敗します。eGFRは標準の体格であると仮定した時の腎機能であり、体格の小さな高齢者で計算すると、腎機能を過大評価してしまい、薬の過剰投与につながります。私自身もついついeGFRにて評価しがちですが、きちんとクレアチニンリアランスにて評価したいと考えております。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

写真は逗子在住山内明徳様撮影