在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

創部へのガーゼ処置について

褥創にガーゼを当てるということはよく行われていますが、あまりよくない処置です

褥創治療においては、褥創はなぜできるのか?傷が治るとはどういうことなのか?を考えなければなりません。

①褥創はなぜできるのか?
廃用が進んだりで寝たきり状態になり寝返りができなくなると、体の一部分(特に骨の出っ張った部分)に圧力(体圧)がかかり、皮膚に血液が流れなくなり、皮膚が壊死することでできます。

つまり、褥創の治療または予防には、この体圧を下げなければなりません。褥創にガーゼを当て、ガーゼを下にして座ったり寝たりして体重がかかると、ガーゼには厚みがあるため、褥創部の体圧が上がってしまい、褥創はいつまでたっても治りません。原因(体圧)の除去ができていないからです。

②傷が治るとはどういうことなのか?
傷は湿潤環境下で修復が進むことが明らかになっていますが、ガーゼは傷を乾燥させてしまいます。

褥創にガーゼを当てるというのは、褥創を見えなくしているだけ(臭いものに蓋をしているだけ)で、治療の効果はありません。効果がないどころか、褥創を乾燥させ、また体圧を上げている、つまり褥創を悪化させているとさえ言えるのです。

これを解決するのが、体圧管理や湿潤開放療法です。ガーゼは百害あって一利なしと言えるでしょう。