在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

パーキンソン病を科学する3ー①~パーキンソン病とミトコンドリアの深い関係

―「マイトファジー」という細胞の自己管理システムとは?

パーキンソン病(PD)は、脳の黒質という領域にあるドーパミン神経が徐々に失われていく神経変性疾患です。震えや動作緩慢などの運動症状を引き起こすこの病気の原因として、ミトコンドリアの機能障害が近年注目されています。


🔬ミトコンドリア仮説とは?

私たちの細胞の“エネルギー工場”とも言えるミトコンドリア。その働きが乱れると、神経細胞の死を誘発することがわかってきました。

ミトコンドリア仮説のポイント:


🧹ミトコンドリアを「掃除」する仕組み ― マイトファジーとは?

**マイトファジー(mitophagy)**とは、傷ついたミトコンドリアを細胞内で除去する仕組みのこと。まるで“壊れた機械を回収して修理・再利用するような”重要な品質管理機構です。

マイトファジーの流れ(PINK1–Parkin経路):

  1. PINK1の蓄積
     損傷したミトコンドリアではPINK1というタンパク質が外膜に蓄積します。

  2. Parkinの活性化
     PINK1はParkinを呼び寄せ、ミトコンドリア外膜のタンパク質にユビキチンを付加。

  3. オートファジーへ誘導
     その結果、損傷ミトコンドリアはオートファゴソームに包まれて分解されます。

🧠この流れがうまくいかないと、神経細胞内に異常なミトコンドリアが蓄積し、黒質ドーパミン神経が死に至る原因となります。


💡治療への期待

現在、**マイトファジーを促進する薬剤(PINK1活性化薬など)**や、ミトコンドリアを保護する抗酸化療法の研究が進んでいます。

パーキンソン病の進行を抑える新たなアプローチとして、今後ますます注目される分野です。


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