認知症というと、多くの人がまず「アルツハイマー病」を思い浮かべるかもしれません。しかし、実はそれに次いで多いのが「レビー小体型認知症(DLB)」です。本記事では、DLBの特徴・症状・注意点を、アルツハイマー病との違いも交えて解説します。
レビー小体型認知症とは?
レビー小体型認知症は、神経細胞内にレビー小体という異常なタンパク質(主成分はαシヌクレイン)が蓄積することで発症する神経変性疾患です。
レビー小体型認知症では以下のような症状がよくみられます:
これらの症状は時にアルツハイマー病とは異なる経過や対応を求められるため、早期発見と正確な診断が非常に重要です。
アルツハイマー病との違い
下表に、DLBとアルツハイマー病の違いをまとめました。
DLBの特徴:
二重五角形課題と視空間認知の低下
レビー小体型認知症では「視空間認知障害」も目立ちます。これはMMSE(認知機能検査)の「二重五角形模写課題」で特に顕著に現れます。
正常な模写では、重なった二つの五角形が10個の角を持ち、重なり部分が四角形になります。DLB患者では形が崩れることが多く、視空間の認知に困難をきたしていることが示唆されます。
診断のポイント:4つの中核症状
CDLB(国際レビー小体型認知症コンソーシアム)は、以下の4つの中核症状のうち2つ以上を認める場合にDLBを診断基準としています。
中核症状 | 出現頻度(参考) |
---|---|
認知機能の変動 | 約81% |
幻視 | 約70% |
レム睡眠行動障害 | 約76% |
パーキンソン症状(動作緩慢など) | 約77% |
抗精神病薬への注意点
DLB患者は抗精神病薬に対して非常に敏感であり、約54%が重篤な副作用を示します。具体的には:
PL顆粒なども含め中枢神経系に作用する薬剤の使用には慎重な判断が必要です。
病理所見と進行予後
DLBの平均的な経過はアルツハイマー病と同様に8年前後。ただし、発症から1~2年で急激に悪化する症例もあります。
レビー小体は大脳皮質に分布(DLB)、脳幹に分布する場合はパーキンソン病とされますが、**両者は神経病理的には同一疾患群(レビー小体病)**と考えられています。
臨床で見逃されやすい現実
病理剖検での報告ではLBDの所見が認知症患者の26%に見られる一方で、臨床での診断率は明らかに低く、見逃されやすい疾患であることがわかっています。
まとめ:DLBの早期発見・適切なケアのために
レビー小体型認知症は、認知症の中でも症状のバリエーションが多く、薬剤の使い方にも繊細さが求められる病気です。
「いつもと違う」「話が急に通じなくなる」「寝てばかり」など、日々の小さな変化を見逃さずに、専門医と連携していくことが重要です。
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