在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

未破裂脳動脈瘤の破裂を予測出来るか?

f:id:neurosamasama:20191215074319j:plain

PHASE SCORE1

f:id:neurosamasama:20191215084916j:plain

PHASES score2


突然ですが、株価は予測出来るか?という命題に対し、これを予測に応用したブラック–ショールズ方程式の提唱者はノーベル経済学賞受賞しました。彼らノーベル賞受賞者を擁したベスト ブライト メンバーの投資会社は数年で破綻。株価の予測は出来ないという立証でしょう。少なくとも数学的には。

次に私の本業である、クモ膜下出血の原因である未破裂脳動脈瘤の破裂は予測出来るか?という命題があります。

もちろん、様々な試みが行われておりますが、目の前の患者の正確な破裂率予測式は確率されておりません。人体ほど多因子の対象を予測規定するのは極めて困難でしょう。

血液を土管の中を流れる水流に模して血液が動脈瘤内でどの様に挙動するかという計算も行われています。

また、様々な破裂動脈瘤研究からの破裂の特徴を抜き出し研究がPHASE studyとして上に挙げた表です。

例えば高血圧ある日本人でクモ膜下出血の既往無い、径5mmの中大脳動脈瘤の破裂率は5年間でおよそ2.4%となります。

それほど高くない値であり、安心されたと思います。

例えば、年間破裂率1%という値を聞くと少しドキドキされる患者さんも多いのですが99%は破裂しませんとお話して安心して頂くようにしております。