在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

新型コロナウィルスとは

現在、様々な問題を引き起こしている新型コロナウィルスですが、医療者として正しい情報発信を出来ればと考えています。これから、数回に分けて書いていてきたいと考えております。どこで感染が増えた、経済に影響与えているなどとは異なる感染に関する本質を書いくつもりです。
 
新型コロナウィルスとは
 
病原微生物(バイ菌)が起こす病気を「感染症」と呼びますが、バイ菌の種類は1つではありません。
 など、様々な病原微生物が世の中には存在していることをまずは知ってください。
 いわゆる「風邪」を起こす多くはウイルスというジャンルに含まれる病原微生物と言われていて、アデノウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルスなどが含まれます。
 あれ?↑にコロナウイルスがありますね。そうなんです。実はコロナウイルス自体は、昔からヒトに感染症を起こすことが分かっていて、風邪の原因の10~15%はコロナウイルスと言われています。ただ一般的に使用できる検査キットが存在しませんので、私たちが病院で「今回はライノウイルスによる風邪でしたね」とお伝えすることは技術上できませんでした。どのウイルスでも結局は「風邪」ですから、治療方法や経過に変わりはありませんので、そこまで頑張って検査する必要もなかったわけです。
 今までに分かっていたコロナウイルスは6種類ありました。日本人の中でも「田中さん」「佐藤さん」「山田さん」がいるようなものです。その6種類のうち4種類は風邪の原因として一般的なもので、重症化せずに自然に治ることが多いです。残り2種類は、
 と言われるウイルスで、重症化リスクが高く一時期アウトブレイクをして問題となりましたが現在は抑え込まれています。
 2019年12月から中国武漢市で原因不明の肺炎が集団発生し、検査の結果「コロナウイルス」が肺炎を起こしていることが分かりました。「今回のコロナウイルス」は、今までに分かっていた6種類とは別の種類のコロナウイルスと判明しましたので、「新型コロナウイルスSARS-CoV-2)」という名前をつけられています。中国国内の広がりに加えて、現在は世界規模でウイルスが広がっています。
 バイ菌の病気は、バイ菌が体内に入り込み増殖することで発症します。バイ菌が存在しなければ、そのバイ菌の病気が起こることはありえません。地域で流行していなければ、新型コロナウイルス感染症について心配する必要性は減ります。
 ヒトはバイ菌との闘いにおいて、「免疫」という仕組みを持っています。広く迅速に活動してくれる「おまわりさん」のような免疫と、特定のバイ菌を強力にやっつけてくれる「特殊部隊」のような免疫とが通常備わっています。以前に攻撃を受けたことのあるバイ菌には、そのときに撃退方法を学んでいますので、次襲われてもすぐに撃退でき、バイ菌にかかったことも分からない場合もあるかもしれません。予防接種は、予めこれらを準備しておく手段の一つです。一方、初めて攻撃を受けるバイ菌に対しては、過去の記憶がありませんので、特殊部隊が十分な準備をもって対峙できません。準備していなければ、一度は攻撃を受けます。その後に盛り返せるかは、バイ菌の『勢い』と患者さんの『基礎体力』にかかっています。