在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅診療における胸水管理

在宅診療において担癌患者さんには胸水貯留に伴う呼吸苦ある患者さんがいます。最近在宅診療において胸水の排液(間歇的、持続的いずれも)を行う患者さんが増え、常に当院でも胸水ドレナージ行う患者さんがいる為、少しまとめてみます
胸水貯留の患者さんにおいて医療的に在宅で行えるのは
① 利尿剤などにて胸水をひく
➤利尿剤は、本来アルブミンとの結合にて作用します。つまり低アルブミンの病状=低アルブミンの病状では、薬が効かない場合が多いです
② 胸水貯留に伴う呼吸苦を軽減する
➤在宅酸素による酸素投与、モルヒネなどの投与
③ 胸腔内に管を入れて胸水を排液する
特に③在宅での胸水ドレナージについて説明してまいります。利点・欠点、方法、管理上の問題点をまとめてみます。
方法として胸水を抜くストローとしての管にはいくつか種類があります
ソラシックカテーテル(単純なストロー構造です)

マルチチャンネルカテーテル(ストローが多重構造となり、通り道を階層化して閉塞を担保してます)

ソラシックエッグ(タマゴ様の形状で、へこまして陰圧をかけます。一方弁にて空気、胸水が逆流しない仕組みです)

アプピレーションキット(構造は極めて単純でストローを胸腔に挿入のイメージです)

間歇的穿刺とは、排液するごとにストローに類似する管をいれて胸水を排液する方法です。これらの管を入れておくことは、間歇的穿刺に比べて持続的に排液出来ますが、感染と気胸のリスクがあります

気胸とは胸腔内は陰圧にて空気が入り、肺が萎んでしまう状態です

 

胸水を排液するところ

間歇排液では、都度排液します。ソラシックエッグを使用するないし在宅では

チェストドレーンバッグを繋ぐのが適切と考えます

利点としては電源不要、軽いことです

欠点は価格が少し高いことです

胸腔ドレナージにおいて一番怖い合併症は気胸です。胸腔内圧は陰圧にてそこに穴をあけて排液することは常に気胸=胸腔内に空気の入る合併症のリスクがあります。これを水封という仕組みで空気が入らず、胸水のみ排液できるようにています。

ただ、在宅で胸水排液における気胸リスクを回避するには、在宅環境でレントゲン撮影できる環境が必要と考えます。在宅におけるレントゲン撮影は、当クリニックでは下図のような重量3.5kgの極めて軽量なものを使用しています。

内田院長 | さくら在宅クリニック (shounan-zaitaku.com)

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