在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療での痙縮治療~痙性麻痺にボトックス治療が効きます


「ボトック
ス」とは、ボツリヌス菌から抽出した神経毒です。

神経筋伝達阻害により筋肉を弛緩させる作用があるので、ボツリヌス菌の食中毒になったら怖いですが、「毒は薬なり」。狙った筋肉に適正量を注射することで、ガチガチに痙縮した筋肉を和らげることができるのです。
上肢の治療は比較的簡単。なぜならば、固くなった筋肉に直接触れて、確認しながら注射できるからです。
例えば手関節の屈曲の場合
こうなってるのを

グイグイ開いて、橈側手根屈筋に注射

筋肉が皮膚のすぐ近くにあるので、手首を曲げ伸ばしすれば痙縮している筋肉がすぐわかるのです。(大抵の場合 針金のように固くなっている)
まず間違うことはありません。

同様に 尺側手根屈筋にも注射。ここも皮膚直下なので、同定は簡単です。

下肢の痙性麻痺で問題になるのは、内反尖足
トップの写真の様に、つま先立ち、足関節が小指側に倒れるような恰好で、固くなってしまうことが多いのです。
これでは立つのも歩くのも不安定になってしまいます。
内反尖足でターゲットとなるのは、腓腹筋、ヒラメ筋、そして後脛骨筋なのですが、これら下肢の筋肉の場合、上肢のようには簡単にはいかないんです。
写真☟は腓腹筋
これなら簡単にいくようにみえる

簡単そうに見える腓腹筋でさえ、特に外側頭のヒット率は低く、60%程度 
更に難しいのが 内反の原因となる後脛骨筋

後脛骨筋は下腿のかなり深いところにあり、絶対に触れることができません。こればっかりはブラインドで打つしかない。

後脛骨筋のヒット率はなんと10%!このあたり、エコーにても同定可能のようです。

また後日エコーでの後脛骨筋に関して共有させて頂きます。

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#ボトックス治療

橈側手根屈筋

尺側手根屈筋

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