JAMA誌にて、外来診療(在宅を含む)における**尿路感染症(UTI)**の診断とマネジメントに関する重要なレビューが掲載されました。
膀胱炎は、在宅医療でも非常に頻繁に遭遇する疾患ですが、抗菌薬耐性や再発への対応など、日常臨床では悩ましい点も多いと思います。
今回はこのレビューから、在宅医にも直結する重要ポイントを簡潔にまとめました。
尿路感染症レビューの概要(JAMA, 2024)
▶ 尿路感染症とは
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外来で抗菌薬が処方される最も一般的な感染症の1つ。
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近年の薬剤耐性菌の増加により、診断・治療の判断が一層複雑に。
✅ 診断のポイント
● 尿培養は原則不要
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初診時に培養をとる意義は低いとされる。
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少なくとも2つの症状(排尿痛・頻尿・切迫感)+膣分泌なし → これだけで急性膀胱炎の診断確率90%以上。
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検尿での白血球陽性は補助的だが、診断確度を大きくは上げない。
● 尿培養が推奨されるケース
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6ヶ月以内の再発例
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多剤耐性の疑い
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複雑性UTI(合併症あり)
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治療抵抗例
✅ 治療方針と第一選択薬
女性の単純性急性膀胱炎:
尿培養なし・診察なしでも治療可能!
◎ 第一選択
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ST合剤(TMP/SMX):160/800mg 1日2回 × 3日間
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ニトロフラントイン(Nitrofurantoin):100mg 1日2回 × 5–7日間
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ホスホマイシン・トロメタモール:3g 単回投与
△ 避ける薬剤
✅ 特別な状況での対応
● 糖尿病合併女性
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非糖尿病女性と基本的に同様の治療でOK。
● 男性の急性膀胱炎
✅ 在宅診療における対応の実際
当院(さくら在宅クリニック)では、在宅で膀胱炎を疑った際に、第3世代セフェムやキノロン系が投与されるケースを多く見かけます。
しかし、今回のJAMAレビューでは以下のような新しい知見が示されています。
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✅ キノロンは第一選択で使わない
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✅ 尿培養や検尿は必須ではない
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✅ 電話診療や事前処方によるアプローチも容認される
特に高齢者や通院困難な在宅患者にとって、「簡便・迅速・過剰治療を避ける」方針は重要です。
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