高齢者は年齢とともに免疫力(感染への抵抗力)が低下します。そのため、介護施設や在宅医療の現場では感染症のリスクが高く、重症化もしやすいことに注意が必要です。
この記事では、高齢者に多く見られる感染症について、感染経路・症状・注意点を整理してご紹介します。
1. 集団感染を引き起こしやすい感染症
◆ インフルエンザ
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原因:インフルエンザウイルス(A型・B型が主)
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流行時期:冬季(12~3月)
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症状:
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38℃以上の発熱
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関節痛、筋肉痛、全身倦怠感
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呼吸器症状(咳、くしゃみ、咽頭痛)
※B型では下痢・嘔吐などの胃腸症状もあり
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ポイント:高齢者では肺炎を併発し重症化することが多く、早期のワクチン接種が重要です。
◆ 感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス など)
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原因:ウイルスまたは細菌
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症状:
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嘔吐、下痢、脱水
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電解質異常による頭痛・錯乱など
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流行時期:
◆ 腸管出血性大腸菌感染症(O157など)
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症状:
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水様性下痢、血便、腹痛
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重症例では「溶血性尿毒症症候群」や「脳症」なども
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注意:食品を介して感染するため、食中毒予防が非常に大切です。
◆ 痂皮型疥癬(かひがたかいせん)
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原因:ヒゼンダニの大量寄生(100〜200万匹)
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症状:
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皮膚や爪に白い厚いかさぶた
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強いかゆみ
※寝具や皮膚接触で感染拡大
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◆ 結核
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感染経路:飛沫感染(空気感染)
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症状:
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咳・微熱・痰
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食欲不振、倦怠感、血痰など
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高齢者では再発・再感染しやすく、死亡率も高いため、早期発見と隔離が重要です。
2. 抵抗力の低い高齢者が特にかかりやすい感染症
◆ MRSA感染症(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
◆ 緑膿菌感染症
**耐性菌(多剤耐性緑膿菌)**では治療が非常に困難になるため、感染予防と衛生管理が重要です。
3. 血液・体液を介して感染する感染症
◆ B型・C型肝炎
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感染経路:血液・体液
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症状:
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倦怠感、食欲不振、黄疸、褐色尿
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慢性肝炎 → 肝硬変 → 肝がんへ進行する場合あり
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◆ HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症
感染症を防ぐためにできること
高齢者にとって感染症は命に関わるリスクとなることもあります。感染予防のために、以下の対策が重要です。
✅ ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌 など)
✅ 手洗い・消毒の徹底
✅ 発熱や下痢が見られた際の迅速な対応
✅ スタッフや家族の体調管理・マスク着用
✅ 衛生的な環境整備とリネン管理
まとめ
高齢者は感染症にかかりやすく、重症化もしやすいため、予防と早期対応が重要です。在宅医療・施設ケアを提供する私たちも、日々の観察と丁寧な対応で、安心できる療養生活を支えています。
📍 当院では地域に根ざした在宅医療を通じて、安心と尊厳ある暮らしをサポートしています。
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