在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

高齢者に多い感染症とは?施設や在宅で注意したい主な疾患と特徴

画像が生成されました高齢者は年齢とともに免疫力(感染への抵抗力)が低下します。そのため、介護施設や在宅医療の現場では感染症のリスクが高く、重症化もしやすいことに注意が必要です。

この記事では、高齢者に多く見られる感染症について、感染経路・症状・注意点を整理してご紹介します。


1. 集団感染を引き起こしやすい感染症

◆ インフルエンザ

  • 原因:インフルエンザウイルス(A型・B型が主)

  • 流行時期:冬季(12~3月)

  • 症状

    • 38℃以上の発熱

    • 関節痛、筋肉痛、全身倦怠感

    • 呼吸器症状(咳、くしゃみ、咽頭痛)
      ※B型では下痢・嘔吐などの胃腸症状もあり

ポイント:高齢者では肺炎を併発し重症化することが多く、早期のワクチン接種が重要です。


感染性胃腸炎ノロウイルスロタウイルス など)

  • 原因:ウイルスまたは細菌

  • 症状

    • 嘔吐、下痢、脱水

    • 電解質異常による頭痛・錯乱など

流行時期


腸管出血性大腸菌感染症O157など)

  • 症状

    • 水様性下痢、血便、腹痛

    • 重症例では「溶血性尿毒症症候群」や「脳症」なども

注意:食品を介して感染するため、食中毒予防が非常に大切です。


◆ 痂皮型疥癬(かひがたかいせん)

  • 原因:ヒゼンダニの大量寄生(100〜200万匹)

  • 症状

    • 皮膚や爪に白い厚いかさぶた

    • 強いかゆみ
      ※寝具や皮膚接触で感染拡大


結核

  • 感染経路飛沫感染(空気感染)

  • 症状

    • 咳・微熱・痰

    • 食欲不振、倦怠感、血痰など

高齢者では再発・再感染しやすく、死亡率も高いため、早期発見と隔離が重要です。


2. 抵抗力の低い高齢者が特にかかりやすい感染症

MRSA感染症(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌


緑膿菌感染症

  • 原因:水回りに多く存在する菌(日和見感染症

  • 症状

    • 褥瘡や傷の治癒遅延

    • 菌血症、敗血症、骨まで露出する壊死など

**耐性菌(多剤耐性緑膿菌)**では治療が非常に困難になるため、感染予防と衛生管理が重要です。


3. 血液・体液を介して感染する感染症

◆ B型・C型肝炎

  • 感染経路:血液・体液

  • 症状

    • 倦怠感、食欲不振、黄疸、褐色尿

    • 慢性肝炎 → 肝硬変 → 肝がんへ進行する場合あり


HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症

  • 感染経路:血液・体液

  • 初期症状

    • 発熱、咽頭痛、発疹、リンパ節腫脹

  • 進行すると


感染症を防ぐためにできること

高齢者にとって感染症命に関わるリスクとなることもあります。感染予防のために、以下の対策が重要です。

✅ ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌 など)
✅ 手洗い・消毒の徹底
✅ 発熱や下痢が見られた際の迅速な対応
✅ スタッフや家族の体調管理・マスク着用
✅ 衛生的な環境整備とリネン管理


まとめ

高齢者は感染症にかかりやすく、重症化もしやすいため、予防と早期対応が重要です。在宅医療・施設ケアを提供する私たちも、日々の観察と丁寧な対応で、安心できる療養生活を支えています。

📍 当院では地域に根ざした在宅医療を通じて、安心と尊厳ある暮らしをサポートしています。

詳細は公式HPをご覧ください。
さくら在宅クリニック|逗子市・在宅医療