在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

高齢者が首を寝違えた

高齢者が朝になって首の痛みや首が回らなくなったことを自覚し、「首を寝違えたようだ」と言って来院することがあります。

それは首の寝違えではなく、頚椎の偽痛風(Crowned dens syndrome)かもしれません。

今回は、頚椎の偽痛風を疑うポイントについて解説します。

痛風は高齢者によくみられる四肢の関節に炎症が起こる疾患です。

この炎症は頚椎にも起こりえます。

診断するには頚椎のCTを撮ります

画像はこんな感じです。因みにcrown dense syndromeに関して以前、僕も論文書いたことあり、もしよろしければ下記から飛んで御一読下さい。

Consideration of the Mechanism for Anterior Condylar Confluent Dural AVF Diagnosed with Neck Pain

No Shinkei Geka. 2019 Apr;47(4):419-427.

歯突起(第2頚椎)周囲に石灰沈着を認めます。これで診断ができます。

しかし、CTが容易に撮れる環境であればよいのですが、在宅医療など、そうでない環境の場合はどうしたらよいでしょうか?

痛風は発熱がみられることが多いので、発熱しているかを確認します。血液検査で白血球増多やCRP上昇を確認します。

また、偽痛風は再発が多いので、過去に同じような頚部痛があったかどうか、関節が腫れたことがあったかどうかを聞きます。

痛風は予後良好な疾患なので、診断的治療も有効です。とりあえず、NSAIDsを1週間処方して経過をみます。偽痛風であればそれで良くなりますが、経過が思わしくないときは別の疾患も考えます。

鑑別疾患:髄膜炎、石灰性頸長筋膜炎、咽後膿瘍、椎骨動脈解離、脊髄硬膜外血種、化膿性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症など

#Crowned dens syndrome
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逗子在住山内明徳様撮影