在宅医療の現場で、ご家族からよく聞かれるご質問のひとつに
「先生、あとどれくらいですか?」という言葉があります。
そんな時、私は「患者さんは最期の瞬間まで“聞こえて”います。どうか、そばにいてあげてください」とお伝えするようにしています。
とはいえ、医学的にはある程度、最期の時間を予測することができます。
それにより、ご家族が心の準備をする時間が持てたり、会わせたい方を呼ぶことができたり、悔いのない時間を過ごす手助けになることがあります。
死亡直前に見られる身体の変化について
「血圧が下がってきたからそろそろ…」と思われることもありますが、実は血圧だけでは予測は難しいです。
収縮期血圧(上の血圧)が60~80台のまま、1週間以上経過するケースも少なくありません。
一方で、比較的予測に役立つとされている身体徴候もあります。
医学書院の『死亡直前と看取りのエビデンス』では、以下のようなデータが紹介されています。
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死前喘鳴(のどのゴロゴロ音):平均57時間前
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下顎呼吸(顎を引くような呼吸):平均7.6時間前
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チアノーゼ(手足の色が紫に):平均5.1時間前
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橈骨動脈が触れない(手首で脈が取れない):平均2.6時間前
私自身は「下顎呼吸」が出てきたタイミングで、ご家族に「皆さん、そろそろ集まってください」とお声がけしています。
ただし、こうしたサインが必ずしも現れるとは限りません。
実際、約2割の方は急激な病状の変化で亡くなられることもあります。
「予測できること」と「予測できないこと」の両方があるのが医療の現実です。
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