在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

「先生、あとどれくらいですか?」というご家族の問いに

在宅医療の現場で、ご家族からよく聞かれるご質問のひとつに
「先生、あとどれくらいですか?」という言葉があります。

そんな時、私は「患者さんは最期の瞬間まで“聞こえて”います。どうか、そばにいてあげてください」とお伝えするようにしています。

とはいえ、医学的にはある程度、最期の時間を予測することができます。
それにより、ご家族が心の準備をする時間が持てたり、会わせたい方を呼ぶことができたり、悔いのない時間を過ごす手助けになることがあります。


死亡直前に見られる身体の変化について

「血圧が下がってきたからそろそろ…」と思われることもありますが、実は血圧だけでは予測は難しいです。
収縮期血圧(上の血圧)が60~80台のまま、1週間以上経過するケースも少なくありません。

一方で、比較的予測に役立つとされている身体徴候もあります。
医学書院の『死亡直前と看取りのエビデンス』では、以下のようなデータが紹介されています。

  • 死前喘鳴(のどのゴロゴロ音):平均57時間前

  • 下顎呼吸(顎を引くような呼吸):平均7.6時間前

  • チアノーゼ(手足の色が紫に):平均5.1時間前

  • 橈骨動脈が触れない(手首で脈が取れない):平均2.6時間前

私自身は「下顎呼吸」が出てきたタイミングで、ご家族に「皆さん、そろそろ集まってください」とお声がけしています。

ただし、こうしたサインが必ずしも現れるとは限りません
実際、約2割の方は急激な病状の変化で亡くなられることもあります。
「予測できること」と「予測できないこと」の両方があるのが医療の現実です。


医療の“リアル”をもっとわかりやすく

このような内容も、今後ブログやYouTubeを通じて、できるだけわかりやすく、正しくお伝えしていけたらと思っています。

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