在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

高齢者に対するモビコール配合内用剤の使用について(在宅医療での高マグネシウム血症リスクへの対応)

【高齢者の便秘治療、見直してみませんか?】

~酸化マグネシウムからモビコールへの切り替えという選択~

在宅医療の現場では、高齢者の便秘対策として**酸化マグネシウム(酸マグ)**を処方するケースが多く、これまで大きな問題を感じることは少なかったかもしれません。
しかし近年、**高マグネシウム血症(高Mg血症)**のリスクが改めて注目されるようになってきています。


◆ 血清マグネシウム濃度とその影響

血清Mgの正常値は1.8~2.6mg/dL
私の経験でも、酸マグを極量で継続内服している方や腎機能が低下している高齢者で、正常値を超える症例が散見されます。


◆ 新たな選択肢「モビコール」

こうした背景から、2018年11月に保険適用となった**モビコール(PEG製剤)**が注目されています。

モビコールの特徴は、主成分のポリエチレングリコール(PEG)による浸透圧効果で腸管内の水分を保持し、

  • 便が軟化

  • 便の体積が増加

  • 大腸の蠕動が刺激されて排便が促進

という、自然な排便機構を活かした作用が得られます。


◆ モビコールのメリットと注意点

腸管から吸収されず、全身性の副作用なし
欧米では第一選択の下剤として広く使用
併用禁忌薬なし(酸マグには多くの併用注意薬あり)

一方で、水に溶かして服用するという手間はありますが、
「酸マグよりも便通がスムーズになった」「浣腸が不要になった」という声も多く聞かれます。


◆ 使用のコツと導入のポイント

  • 酸マグ1g ≒ モビコール2包が換算目安

  • 即効性はなく、効果は徐々に現れるため毎日の内服が基本

  • 少量から開始し、個別に調整するのが理想


高齢者の便秘治療、ぜひ一度見直してみませんか?
特に腎機能が低下している方や他剤併用中の方には、モビコールが安全で有効な選択肢となり得ます。


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