便秘のアセスメントにおいて、直腸内の便の有無や性状を正確に評価することは非常に重要です。従来の直腸診は不快感や羞恥心のリスクも伴いますが、エコー(超音波)検査なら非侵襲的に直腸の状態を可視化することができます。
直腸を“見える化”する基本構造とプローブの位置
直腸の観察では、身体の構造をランドマークとして活用します。
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観察位置:プローブを恥骨結合の直上に当てる
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ランドマーク:
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男性:膀胱 → 前立腺 → 直腸
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女性:膀胱 → 子宮・腟 → 直腸
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膀胱に尿がたまっている場合、**無エコー域(黒く抜ける)**として描出され、直腸の確認に役立ちます。
直腸の観察手順
① 横断走査(断面像)
🎯ポイント:
・プローブはややしっかりめに押し当てる
・深度やゲイン(明るさ)を微調整しながら中央に直腸像を収める
② 縦断走査(長軸像)
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プローブを90度回転させ、縦方向で当てる
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無エコー域の膀胱を確認したら、左右方向に扇動走査(30°以内)
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直腸の連続した長軸像を観察
👁🗨 糞便があると、直腸内に高エコー+音響陰影が描出されます。
実際の描出例と性差による特徴
→ この構造の違いを理解することで、より正確な直腸の描出と便性状の評価が可能になります。
ブリストル便性状スケールとエコー所見の一致
便の評価には、「ブリストル便性状スケール(BSFS)」が活用されます。
このスケールでは、便を1〜7の硬さに分類します。
スコア | 便性状 | エコー所見の傾向 |
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1〜2 | 硬便(兎糞状〜硬いソーセージ状) | 高エコー+強い音響陰影で確認可能 |
3〜4 | 普通便 | 中等度のエコー反射 |
5〜7 | 軟便〜水様便 | 反射は弱く、不定型・無エコーに近い |
→ エコー画像と便性状は相関性が高く、硬便の見極めに特に有効です。
観察時の注意点と配慮
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基本は仰臥位で観察。腰痛などある場合は膝を立てるなど体位調整を。
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プローブは恥骨結合直上に置くため、下着を下げる必要があります。
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羞恥心への配慮が大切。必ずバスタオル等で露出部位以外を覆い、個室・カーテン対応を行いましょう。
まとめ:直腸エコーは、非侵襲で安心できる排便評価法
直腸エコーを活用すれば…
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「便があるのか、ないのか」を視覚的に判断
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不適切な下剤や浣腸を回避
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患者の苦痛と羞恥心を最小限にしたケアが可能に
特に高齢者・認知症患者・言語障害のある方の便秘評価において、大きな武器となります。
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