在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する16【便秘の評価】結腸・直腸をエコーで観察するためのポイント

画像が生成されました便秘を正確に評価するには、糞便の「貯留部位」「量」「性状」まで把握することが重要です。そこで有効なのが、超音波(エコー)を用いた結腸・直腸の観察です。
この記事では、解剖的知識を踏まえた描出法や画像の見方について、現場で役立つポイントをまとめました。画像が生成されました

 


結腸・直腸の解剖とエコー観察に使うプローブ

結腸の構造と内容物の変化

結腸は以下の4部位に分かれます:

  1. 上行結腸(右腹部)

  2. 横行結腸(上腹部)

  3. 下行結腸(左腹部)

  4. S状結腸(左下腹部)

上行結腸では水様便が多く、S状結腸に向かうにつれ水分が吸収されて固形便になっていきます。結腸は部位によって固定性や走行の個人差がある点に注意が必要です。

直腸の位置

直腸は骨盤腔の後方、恥骨の直後に位置します。深部臓器であるため、3.5〜5MHzのコンベックスまたはセクタプローブを使用します。


結腸各部位の描出方法と観察ポイント画像が生成されました

① 上行結腸・下行結腸(図参照)

  • プローブ位置:腸骨稜の上縁、中腋窩線上

  • 走査方向:最初は横断→続けて縦断

  • 描出の工夫

    • 痩せ型→腹側寄りにプローブを当てる

    • 肥満型→背側寄りに調整

観察ポイント

  • 高エコー域(白)+後方音響陰影 → 糞便貯留のサイン

  • 連続する高エコーの波状像 → 結腸ハウストラ

  • 水様便:もやもやした反射、明瞭な陰影なし


② 横行結腸画像が生成されました

  • プローブ位置:心窩部(みぞおち)から下方に向けて

  • 走査方向正中線上を足側へ平行走査

  • 描出の順番:肝臓(低エコー)→胃(高エコー)→その下の腸管=横行結腸

観察ポイント

  • 肥満者→横行結腸が上昇し心窩部寄り

  • 痩せ型→横行結腸が下垂し臍部近くに

  • ガス貯留部位 → 多重反射や描出困難に注意


③ S状結腸(図参照)画像が生成されました

  • プローブ位置:左腸骨稜上縁→内側・下方へ走査

  • 目印腸腰筋(均一な低エコー+血管像)を超えた高エコー腸管=S状結腸

  • 観察部位:骨盤深部まで落ち込むため腸腰筋近傍までが限界

観察ポイント

  • 明瞭な高エコー+後方音響陰影 → 糞便の形成・貯留

  • 描出困難時は腸腰筋付近を丁寧にスキャン

  • 骨盤臓器との識別に注意


小腸との見分け方

比較項目 小腸 結腸
エコー画像の動き 活発に蠕動し高エコーが動く ほとんど動かず静的
縦断像での描出 連続描出が困難(走行が複雑) 波状に連続する高エコーが描出可能
特徴的所見 ケルクリング(輪状ヒダ) ハウストラ(結腸の膨らみ)

※迷ったときはプローブの動きを止めて動きを比較することで鑑別できます。


まとめ:エコーは結腸・直腸評価の強力な武器になる

便秘の評価では、「排便があったかどうか」だけでなく、**「どこに・どれだけ・どんな便が溜まっているか」**まで把握することが重要です。
エコーを活用すれば、非侵襲的に、より正確なアセスメントが可能になります。

  • 糞便貯留の部位性状を見極める

  • 排便後の残便を確認し、ケア効果を評価

  • 小腸・ガス・腹部脂肪との識別にも対応

在宅医療や施設ケア、病棟での排便管理に、ぜひ取り入れてみてください。


📘 もっと学ぶ
・エコー画像解説付きリーフレット(医療者向け)
・便秘ケア研修資料(介護職向け)

📺 実際のスキャンの様子はYouTubeでも!
▶️ さくら在宅チャンネル(YouTube)


#便秘評価 #エコー活用 #排便ケア #超音波検査 #高齢者看護 #在宅医療 #腸管描出 #後方音響陰影 #S状結腸 #結腸観察