褥瘡の評価において、エコー検査は表面からではわからない内部情報を得るための有効な方法です。ここでは、褥瘡部を観察・評価する手順と実際の注意点を整理します(図3)
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Step1:観察目的の明確化
エコー検査の目的は大きく2つに分けられます。
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初回重症度評価
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組織障害の範囲や程度を把握するため、褥瘡部を全体的に観察します。
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経時的評価
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前回指摘した異常所見の変化を確認し、治癒過程やケア効果を評価します。
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また、前回「正常」と評価した部位も再度観察し、褥瘡の広がりを把握することが重要です。
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Step2:観察時の準備と注意点(図4)
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プローブの準備
褥瘡観察にはリニア型高周波(8MHz以上)のプローブを使用します。感染予防のため、ラップなどでカバーし、カバー内にはゼリーを多めに入れます(図4-①)。 -
隙間の処理
深い褥瘡ややせ型の仙骨部では、皮膚とプローブの間に空気が入りやすく画質が低下します。その場合はゼリーやゲルフィルムで隙間を埋め、空気層を除去します(図4-②)。 -
走査の基本
健常皮膚→創面→健常皮膚の順に直線的に走査することで、異常所見を明瞭に描出できます。横断・縦断の2方向から観察するのが理想です(図4-③)。
Step3:観察上の注意点(図5)
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表面が硬い黒色壊死組織に覆われている場合、内部観察は困難です。
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可能であれば壊死組織を除去した上でエコーを施行すると、内部の浮腫や層構造の不整を評価できます。
Step4:経時的観察と記録方法(図6)
褥瘡評価では経時的な変化の追跡が特に重要です。
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プローブを当てている様子を写真撮影する
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撮影部位と走査方向を矢印などで記録する
これにより、同じ部位を継続的に評価でき、治癒過程やケア効果の判定に役立ちます。
まとめ
エコー検査は褥瘡の内部状態を「見える化」する有効な手段です。
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初回は重症度を把握し、
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経時的には治癒や悪化の兆候を追跡し、
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適切なケア選択に直結する評価が可能です。
感染予防や走査方法に配慮しつつ、記録を一貫して残すことが質の高い褥瘡ケアに繋がります。
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