1. 併用療法のメタ解析から
2. DOMINO study(英国・在宅患者295例)
対象:ドネペジル10mgを3か月以上内服中、中等度~高度アルツハイマー病患者群分け(52週フォロー):a) ドネペジル中止(プラセボ群)b) ドネペジル継続c) ドネペジル中止+メマンチン追加d) ドネペジル継続+メマンチン追加
評価項目:
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sMMSE(認知機能):30点満点、1.4点差で臨床的有意差
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BADLS(日常生活動作):60点満点、3.5点差で臨床的有意差
結果
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ドネペジル継続群:sMMSEで+1.9点、BADLSで+3.0点 → 有意に良好
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メマンチン群:sMMSEで+1.2点、BADLSで+1.5点 → 有意に良好
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併用群 vs ドネペジル単独:差なし
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ドネペジル中止群:sMMSE・BADLSともに悪化、脱落も多かった
3. 臨床的な示唆
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ドネペジル単独・メマンチン単独・併用で大差はない→ 「両方使えばより効く」とは限らない。
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ドネペジルを中止すると機能低下が明確→ 中等度~高度であっても、副作用がなければ続けたほうが良い。
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併用療法を積極的に推す根拠は弱い→ 費用・服薬負担を考慮すれば、まずは単独で十分。
まとめ
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併用は「効く」というより「差がほとんどない」。
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ドネペジルは中止せず継続が望ましい(在宅生活を支えるうえで)。
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メマンチンは副作用プロファイルが異なるため、ドネペジルが使えない場合や副作用時に検討。