在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する32~食道胃接合部での経鼻胃管留置確認 ― エコーの活用法

画像が生成されました経鼻胃管の留置確認といえば、これまでは胸部X線写真が主流でした。
しかし、ベッドサイドで非侵襲的に行えるエコーによる確認が注目されています。特に在宅やX線撮影が難しい環境においては、大きな利点となります。


食道胃接合部での観察ポイント

観察手技

  1. ランドマーク:肝臓・腹部大動脈・胃。

  2. 左肋骨弓下走査でプローブを当てると、肝臓の背側に胃小弯、さらにその連続として食道胃接合部が描出されます。

  3. 経鼻胃管は高エコーの二重ラインとして確認可能。

工夫できる体位

  • 経鼻胃管が描出できない場合は、左側臥位にすることで胃が左に移動し、肝臓を介した観察視野が広がり、描出しやすくなります。

確認の補助方法

  • 内容物を吸引すると、泡状の不均一なエコー像が現れることがあり、チューブ内を確認する手がかりになります。


エコー確認のメリット

  • 非侵襲的放射線被曝がなく、患者の負担も少ない。

  • 迅速X線検査を待つ必要がなく、即時に確認可能。

  • 在宅・小規模施設でも有用X線装置がない場面でも安全に評価ができる。

また、錘やスタイレット付きの経鼻胃管では、金属部分が強い反射を示すため高エコー像がより鮮明となり、胃内部での描出が容易になる場合もあります。


今後の展望

  • 素材の違いによる見え方の検討

  • エコー描出しやすいチューブの開発

こうした進歩により、今後はさらに簡便で安全な経鼻胃管確認が可能になることが期待されます。


注意点

  • エコー単独での確認に頼らず、必ず吸引法や聴診法を組み合わせることが必要です。

  • 多角的な確認で安全性を高めることが重要です。


📺 関連動画はこちら → [さくら在宅チャンネル(YouTube)]

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#経鼻胃管の留置 #エコー #看護師技術 #特定行為 #安全な穿刺