在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する27~エコーでの観察アプローチのポイント

画像が生成されました~PICC挿入に必要な基本知識~

PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)を安全に挿入するためには、エコーを正しく使いこなすことが欠かせません。
ここでは「準備」と「観察の基本ポイント」について整理します。


エコー観察の準備

  • プローブ:表在の血管を描出するため、リニア型プローブを使用

  • ジェル:音波を伝えやすくするために必須。皮膚とプローブの密着性を高め、安定した画像を得る


PICC成功の3つの条件

PICCを適切に挿入するためには、以下の3点が重要です。

  1. 適切な静脈の選択

  2. 適切な挿入部位の決定

  3. カテーテル先端位置の確認

これらを満たすためには、エコーで「血管の見え方」「静脈と動脈の違い」「神経叢の位置」を理解しておく必要があります。


1. 血管の見え方

  • プローブを血管に対して直角に当て、短軸像を観察

  • プローブの中央に血管がくるように位置調整

  • エコー画像上では:

    • 血管壁 → 白く観察される

    • 血管内腔 → 黒く観察される


2. 静脈と動脈の区別

誤って動脈を穿刺しないために、エコーでの区別が重要です。

特徴 動脈 静脈
拍動 確認できる なし
圧迫時 つぶれない 扁平につぶれる
血管壁の厚さ 厚い 薄い

3. 神経叢の観察

  • 神経叢はエコーで「カリフラワー状」の像として観察されます

  • 穿刺部位が神経叢に近すぎると損傷のリスクがあるため、必ず位置を確認して避けることが重要です


まとめ

PICCのエコーアプローチでは、

  • 適切な機器とジェルを準備する

  • 短軸像で血管を描出する

  • 動脈と静脈を正確に区別する

  • 神経叢の位置を把握して安全に穿刺する

これらの基本を押さえることで、穿刺成功率が高まり、合併症リスクを減らすことができます。


🔗 関連動画:さくら在宅チャンネル(YouTube

#PICC #エコー #カテーテル留置 #在宅医療 #特定行為 #血管アセスメント #看護技術