1. 縦断・横断走査の基本
● 体幹部の走査法
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縦断像(長軸):モニター画面の左が「患者の頭側」、右が「足側」
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横断像(短軸):モニター画面の左が「患者の右側」、右が「左側」
● 四肢の走査法
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縦断像(長軸):画面左が「近位」、右が「遠位」
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横断像(短軸):画面左が「外側」、右が「内側」
💡モニターの左右は体位とボディマークにより変わるので、確認してから評価しましょう。
2. エコーレベルの基礎知識
エコー画像では、組織の密度や反射特性により以下のように分類されます。
種類 | 特徴 | 表現 |
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高エコー | 強く反射し白く映る | 骨、結石、脂肪の境界など |
等エコー | 周囲組織と同等の明るさ | 一部筋肉、臓器境界 |
低エコー | 弱く反射し黒っぽく映る | 筋肉、実質臓器など |
無エコー | 音が通過し完全に黒くなる | 液体(尿、血液、嚢胞など) |
3. 組織別のエコー像の見え方
● 実質臓器(例:筋肉・肝臓など)
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低エコー~等エコーの層構造
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筋肉:横縞構造(筋繊維)
● 骨・関節
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骨表面は白く強い反射(高エコーライン)
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骨の内部は音が届かず、後方減衰(シャドー)
● 液体(膀胱・血腫など)
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無エコーとして黒く抜ける
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境界は白い輪郭線
4. 走査部位別エコー像の実例(図5より)
部位 | 観察画像と所見例 |
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前腕 | 骨・血管・筋肉層を確認(尺骨・橈骨の区別) |
下肢血管 | カラードプラで血流確認、静脈瘤やDVTの評価 |
皮下組織 | 脂肪層・筋膜の厚み・浮腫の有無 |
5. 機器による画像差と精度
● 装置による膀胱画像の違い(図1参照)
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同じ被検者でも、機種によって尿の無エコー領域の輪郭に差が出る
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高画質な機種ほど、膀胱壁や内容物の境界が明瞭
● 尿量計測精度(図2)
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複数機種による測定結果の比較では、おおむね実測値と良好な相関あり(r = 0.85〜0.94)
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信頼性の高い手持ち型装置でも、使い方と観察者の技術により再現性は変化する
まとめ:エコー画像を読む力を磨こう
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「何が白く」「何が黒く」映るかは、エコーレベルの基本を知ることで理解できる
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見え方には体位やボディマークの向き、プローブの持ち方も影響する
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装置の特性も画像の明瞭さや計測値に影響を与えるため、目的に応じた機種選定が重要
🔍 実践のヒント
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肉眼でわかりづらい浮腫や血流変化も、エコーでは客観的に評価できます
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頻用プローブ(リニア・コンベックス)を理解し、基準画像と比較する習慣をつけましょう