前頭側頭葉変性症(FTLD: Fronto-Temporal Lobar Degeneration)は、前頭葉や側頭葉が徐々に萎縮することで起こる認知症の総称です。アルツハイマー病に次いで多い神経変性型認知症で、症状やタイプは多様です。
主なタイプ(表16)
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(行動異常型)前頭側頭型認知症
前頭葉の機能が低下し、感情や行動のコントロールができなくなります。-
無関心(自発性低下)
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脱抑制(欲求を抑えられない)
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時刻表のように同じ行動を繰り返す
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模倣行動・反響言語など周囲に反応しやすくなる
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意味性認知症
側頭葉の障害で「言葉の意味」がわからなくなります。-
単語や物の名前が出てこない
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写真や物はわかっても名称が言えない
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信号や標識の意味が理解できず、運転トラブルの危険も
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進行性非流暢性失語症
話すことが困難になり、言葉が途切れ途切れになったり、発音や文法が崩れます。
アルツハイマー病との違い(表17)
項目 | 前頭側頭葉変性症 | アルツハイマー病 |
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神経病理 | 蓄積タンパクの種類が多様 | アミロイド+リン酸化タウ |
行動 | 他人の目を気にせず行動 | 家族や場面で行動変化 |
記憶 | 言葉の意味理解が障害されやすい | 直近の出来事が思い出せない |
病気の進行と予後
治療について
残念ながら根本的な治療法は未確立です。
注意すべきポイント
まとめ
前頭側頭葉変性症は、「人格や行動の変化」「言葉の意味がわからない」「話しにくい」など、タイプによって症状が大きく異なります。アルツハイマー病とは原因や症状の出方が違うため、正しい診断と対応が重要です。周囲の理解と環境の工夫が、患者さんの生活の質を守る鍵となります。
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