在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する24~エコーでの末梢静脈カテーテル留置評価

画像が生成されました~太さ・深さ・走行を“見える化”する意味~

点滴や輸液のために末梢静脈カテーテルを留置したのに、
「点滴が落ちない」「腫れてきた」「発赤がある」「痛い」などの理由で抜去せざるを得なくなることがあります。
これらは総称して**末梢静脈カテーテル中途抜去(Catheter Failure: CF)**と呼ばれ、ある大学病院の調査では約18%に起こっていたとの報告があります。

なぜエコーが役立つのか?

カテーテルのトラブルを防ぐには、「適切な血管を選ぶ」ことが重要です。
従来は目視や触診に頼っていましたが、エコーを使うことで血管の太さ・深さ・走行を事前に確認できます。これにより、穿刺の成功率を上げ、中途抜去のリスクを減らせるのです。


1. 血管の太さを確認する

血管が細すぎることはトラブルの要因のひとつです。
エコーで短軸像を描出すれば、血管径を正確に測定可能です。

血管径は【(長径+短径)÷2】で算出します。


2. 深さと走行を確認する

  • 穿刺位置・角度・深さの予測
    →どのくらい針を進めれば血管壁に到達するか、事前にシミュレーションできます。

  • プローブを移動させて観察
    カテーテル長さ分の血管をスキャンし、分岐や合流部位を避けて留置位置を決定します。


3. 成功率を高める工夫

  • 血管選択は「太さ・深さ・走行」の3点確認が基本。

  • 可能であればエコーガイド下穿刺を行うと成功率はさらに向上することが報告されています。

  • 1回の穿刺で成功すること自体が、中途抜去の予防につながります。


まとめ

エコーは「見えない血管を見える化する」強力なツールです。
適切な血管を選ぶことは患者さんの負担を減らし、医療者にとっても処置の効率を高めます。

在宅や臨床の現場で、**“エコーで太さ・深さ・走行を確認する”**習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。


🔗 参考:さくら在宅チャンネル(YouTube

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