頸部拘縮に対するアプローチ──予防・改善ケアと食事介助時の工夫
神経難病終末期や重度の脳卒中後遺症など、中枢神経疾患を患う寝たきりの方の中には、首が固くなかなか頸部前屈位をとれない方もいらっしゃいます。頸椎を支持している組織や頸部筋群の柔軟性がなくなり、関節可動域が制限されている状態です。頸部前屈位が容易にとれないということは、誤嚥や窒息リスクが高いことに直結しますので、拘縮に対して何らかのケアが必要です。
頸部後屈位になりやすいしくみ
頸椎の構造上、頸部は後屈(伸展)方向に曲がりやすくなっています。さらに、体幹や脊柱と頭部をつないでいる筋は背部に多く存在しています。自分で首を動かせないほどの寝たきりの方は徐々に筋が痩せて線維化し短縮していきますので、首は徐々に後屈し、ポジショニングケアなしでは後屈した姿勢で硬直します。
首だけではなく体幹・上肢の柔軟性を高める
頸部拘縮は、頸椎関節と支持組織(特に筋や腱)の柔軟性を回復させることによって改善できます。固縮に近い状態であれば、改善までとても長い時間を要するかもしれません。
- 頸部前後屈
- 頸部回旋
- 頸部側屈
- 頸部筋群(僧帽筋、胸鎖乳突筋、傍脊柱筋など)のマッサージ
- 頸部筋群のストレッチ
- 温冷療法(ホットパック、アイスパック)
- 頸部筋群の起始部は体幹や上肢にある
- 首以外の筋の過緊張やバランスの不具合が頸部筋群の緊張につながる
- 体幹・上肢のストレッチや可動域運動も頸部拘縮に効果的
一般的に、頸部拘縮症状は極度のケア不足を象徴しています。後屈した首では、どんなにその後、嚥下リハや口腔ケア、栄養管理をしても誤嚥・窒息リスクは高いままです。日ごろの頸部ポジショニング、体幹や上肢の柔軟には予防的な視点をもって取り組むべきです。
食事介助時の工夫
頸部前屈位がとりづらい拘縮気味の方の食事介助時には、ほかにない工夫が必要です。食物を捕食しようと口を開けると、頸部がさらに後屈しがちになります。枕でこの後屈防止ができないときは、ケア提供者の手を使います。
開口時に頭部が後屈するのは、顎関節を軸にして頭部が背側に回転するからです。後頭部を支えても頭部の回転は防げません。頭頂部に手を当てることで、この回転を直接ブロックできます。
頸部拘縮は誤嚥・窒息リスクに直結します。日ごろから頸部ポジショニングと体幹・上肢の柔軟性ケアを予防的に続けることが最重要です。すでに拘縮気味の方の食事介助では、スプーンを持っていない手を「頭頂部」に置いて開口時の後屈を防ぎましょう。
