在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する26~PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)の挿入とエコー確認

画像が生成されました~安全で確実なカテーテル留置のために~

2015年10月、厚生労働省の通知により、看護師による特定行為が明文化されました。その中には PICC(Peripherally Inserted Central Venous Catheter:末梢静脈挿入中心静脈カテーテル の挿入も含まれています。
すでに特定行為研修を修了した看護師が臨床でPICCを挿入しており、今後さらに現場で活用されていくことが期待されます。


PICCとは?

  • CVC(中心静脈カテーテル)の一種
    →末梢静脈から挿入し、先端を上大静脈に留置するカテーテル

  • 特徴

    • 長期に中心静脈路が必要な場合に選択されやすい

    • 鎖骨下・内頸静脈穿刺に比べ、気胸・血胸といった重篤な合併症リスクが低い

    • 感染率が比較的低いと報告されている


適切な血管を選ぶ

  • 肘正中皮静脈はよく用いられるが、径は約5mm程度

  • 上腕尺側皮静脈は径が10mm前後と太く、長期留置に適している
    →ただし、目視や触診では確認できず、エコーによる観察が必須

エコーを用いることで、動脈や神経叢を避けつつ、安全に太い血管を選択できます。


エコーでできること

① 挿入血管の確認

  • 太さ・深さ・走行をリアルタイムに観察

  • 動脈や神経叢を避けた穿刺が可能

カテーテル先端位置の確認

海外では「バブルテスト」という方法がスタンダードに用いられています。

  • PICCを適切な長さで挿入後、右心房にエコープローブを当てる

  • 生理食塩水10mLをカテーテルから注入

  • 右心房内に微細な泡が描出されれば、先端が正しい位置にある証拠

この方法を用いることで、胸部X線を待たずに先端位置を確認できるというメリットがあります。


まとめ

PICCは、在宅医療や急性期・慢性期の病院で幅広く活用されるカテーテルです。
エコーを用いることで、

  • より安全に太い静脈を選択できる

  • カテーテル先端位置をリアルタイムに確認できる

といった利点があります。

患者さんにとっても侵襲性が少なく、医療者にとっても安全性と効率を高める方法として、今後さらに普及していくでしょう。


🔗 関連動画:さくら在宅チャンネル(YouTube

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