在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

攻めの栄養療法を科学する56~攻めの投与方法

画像が生成されました


― 高エネルギーを「無理なく・安全に」入れる工夫 ―

高エネルギー投与を行う際、1 kcal/mL の栄養剤のみを使用すると投与ボリュームが非常に大きくなるという問題があります。
特に、

  • 体格の小さい高齢者

  • 胃食道逆流や誤嚥リスクの高い患者

では、そのままでは投与が困難となることも少なくありません。

以下では、

  • 必要エネルギー量:2600~3000 kcal

  • 必要たんぱく質量:60~120 g

  • 必要水分量:1800~2000 mL

  • 1回注入量:約500 mL

を想定した、攻めの投与の実践例を示します。


液体栄養剤による攻めの投与

① 間欠投与(ボーラス投与)

基本的な考え方

  • 胃の排泄時間を考慮し、まず水を投与

  • 20〜30分の間隔をあけて高濃度栄養剤を注入

  • 不足する水分は、就寝前や注入間で追加投与

この方法は、高価な栄養剤を使用せずに実施可能であり、
👉 攻めの栄養療法における第一選択として対応しやすい方法です。


【投与方法①】標準的な攻めの間欠投与

  • 水 150 mL

  • 20〜30分後

  • アイソカル® 2K(1000 kcal/500 mL)× 3回

投与速度:200 mL/時間

1日合計


【投与方法②】高齢者・腎機能リスクがある場合

※高齢でなくても、腎機能悪化リスクがある場合はこちらを検討

  • 水 150 mL

  • 20〜30分後

  • アイソカル® 2K(1000 kcal/500 mL)× 2回

  • レナウェル® A(800 kcal/500 mL)× 1回

1日合計

👉 たんぱく質量を抑えつつ、エネルギーを確保する設計


② 粘度調整食品を併用した方法(逆流対策)

REF-P1® などの粘度調整食品を先に注入し、その後に通常の栄養剤を投与する方法です。
胃内でとろみが形成され、逆流・誤嚥予防目的で使用されます。

【投与方法③】

  • 水 100 mL

  • 20〜30分後

  • REF-P1® + サンエット® 2.0 バッグZ(1000 kcal/500 mL)× 3回

1日合計


持続注入による攻めの投与

基本的な考え方

  • 経管栄養ポンプを使用し、少量を持続的に注入

  • 細菌汚染防止のため、8時間以上の継ぎ足し注入は行わない

  • イリゲーター/バッグは適切に交換

リハビリが可能な場合

  • 日中の活動時間を確保するため、夜間投与を検討

合併症が強い場合

  • 投与速度を極力落とし、忍容性を優先


【投与方法④】夜間投与+末梢静脈栄養併用

※リハビリ時間を最大限確保したい場合

  • メイバランス® 2.0Zパック:2600 kcal(1300 mL)

  • 3号液:172 kcal(1000 mL)

  • 投与速度:108 mL/時間

  • 夜間12時間投与

1日合計


【投与方法⑤】空腸瘻・下痢対応時の持続注入

※空腸瘻からの投与や下痢が問題となる場合

  • ペプタメン® スタンダード バッグ:3000 kcal(2000 mL)

  • 水:300 mL

  • 投与速度:95.8 mL/時間

1日合計

👉 消化態栄養剤の使用が効果的


攻めの投与を成功させるために

攻めの栄養療法において重要なのは、
「たくさん入れること」ではありません。

常にモニタリングしながら調整することが前提です。

特に高エネルギー投与時には、
👉 合併症を見逃さず、即座に修正できる体制
が不可欠です。


▶︎ 公式サイト

https://www.shounan-zaitaku.com/

#攻めの栄養療法
#経管栄養
#高エネルギー投与
#間欠投与
#持続注入
#在宅医療
#リハ栄養
#嚥下リスク
#胃食道逆流
#消化態栄養剤
#さくら在宅クリニック