
― 高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌 ―
■ 侵襲とは何か
侵襲とは、
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重症感染症
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大手術
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多発外傷
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熱傷
など、生体を傷害し、生体恒常性(ホメオスタシス)を破綻させる強い刺激を指します。
侵襲が加わると、生体内では以下の反応が起こります。
■ 外因性エネルギー=栄養療法の落とし穴
栄養療法は、
**外因性エネルギー供給(exogenous energy supply)**に該当します。
侵襲下では、
生体内から供給されるエネルギー
+
外から投与するエネルギー
この両者の合計でエネルギー需要が満たされます。
そのため、
👉 「推定エネルギー必要量と同量の栄養を外から投与する」ことは、
過剰投与(overfeeding)になる可能性が高い
という点が、極めて重要です。
■ 侵襲時に最も注意すべき合併症:高血糖
侵襲が起こると、
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肝臓・骨格筋に貯蔵されたグリコーゲンが消費される
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しかし
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骨格筋グリコーゲンは他臓器では利用できない
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肝グリコーゲンも 12~24時間で枯渇
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その後は、
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乳酸
を材料とした糖新生によって血糖が維持されます。
■ 飢餓と侵襲の決定的な違い
飢餓時と異なり、侵襲下では、
その結果、
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高血糖が起こりやすい状態になります。
■ 高血糖がもたらす悪循環
高血糖は単なる数値異常ではありません。
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好中球機能低下
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細胞内殺菌能低下
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免疫能低下
を引き起こし、
👉 感染症リスクを著明に増加させます。
そのため、侵襲下では
🎯 目標血糖値:180 mg/dL以下
を基本とします。
■ 侵襲時の栄養投与量の考え方
● エネルギー量
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間接熱量計による測定(可能であれば)
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または
25~30 kcal/kg/day(簡易式)
👉 ※「多ければ良い」ではありません。
● たんぱく質量
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1.2~2.0 g/kg/day(実測体重)
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腎機能を評価しながら慎重に調整
■ 侵襲性低栄養の本質
侵襲による低栄養は、
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飢餓
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悪液質(カヘキシア)
とは異なり、
短期間で急速に進行します。
そして最も重要なのは、
👉 侵襲の原因(感染・炎症・外科的問題など)が制御されなければ、
栄養だけで低栄養を改善することは不可能
という点です。
■ 結論
高度侵襲下における「攻めの栄養療法」は禁忌
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高度侵襲下では
内因性エネルギーがすでに過剰 -
そこに攻めの栄養を重ねると
👉 過剰投与・高血糖・感染リスク増大 -
まず優先すべきは
侵襲の制御(治療)
👉 侵襲が落ち着いた段階で、初めて「攻め」を検討する
これが、安全な栄養療法の原則です。