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振動・呼気陽圧療法(V・PEP療法)とは
アカペラ®は、非薬理学的な気道清浄化療法のひとつとして、呼気陽圧療法(PEP:positive expiratory pressure)に振動法(vibration)を組み合わせた振動・呼気陽圧療法(V・PEP療法)に用いる器具である。
✅ 呼気陽圧療法(PEP療法)の推奨度
嚢胞性肺線維症の患者において胸部理学療法とほぼ同じ効果があり、安価で安全に自己管理ができることから推奨されている(ACPガイドライン推奨度:B)。
気道陽圧法の適応(米国呼吸法学会ガイドライン)
📋 適応症
- ① 喘息およびCOPDにおけるエアートラッピングの改善
- ② 滞留分泌物の排痰支援(嚢胞性肺線維症および慢性気管支炎)
- ③ 無気肺の予防または改善
- ④ 気道清浄化療法を受けている患者に対する気管支拡張薬の投与の最適化
⚠️ 導入に慎重な判断が必要な場合
- 喘息やCOPDの急性増悪時
- 未治療の気胸が存在するなど
- 呼吸仕事量の増大に耐えられない状態にある場合
アカペラ®の構造と仕様
アカペラ®には、呼気流量によって2種類が用意されている。
グリーン(成人用)
呼気流量が15L/分以上得られる患者に使用する
ブルー(小児・高齢者用)
呼気流量が15L/分未満の患者に使用する。実際に行うと呼気流量が十分に得られない成人患者にも試すことを推奨
作動原理
アカペラ®の開閉するシーソー弁付きの器具に呼気を吹き込むことで、分泌物で閉塞した気管支部分に陽圧と振動を与え、分泌物の移動を促進する(呼気陽圧+振動により気道内分泌物の移動を促す)。
⚙️ 設定のポイント
アカペラ®の後部にあるダイヤルで吸気:呼気時間比が1:3〜1:4程度になるように呼気抵抗を調整する。器具の使用と指導法を理解している医療者が患者と対面で行うことが推奨される。一度の訓練で患者が10回程度の吸気-呼気が疲労なく行えることを確認し、設定できる。
アカペラ®の操作手順
呼気抵抗の調節
吸気:呼気時間比が1:3〜1:4程度になるように呼気抵抗を調節する。
マウスピースをくわえる
マウスピースを息漏れしない程度にくわえる。
腹式呼吸で吸気
楽な姿勢を保ち、ゆっくりと息を吸い込み腹式呼吸する。一方向吸気弁付きなので、くわえたまま状態で呼吸ができる。
息止め
通常の呼吸より大きく息を吸い込み、2〜3秒間息を止める。
アカペラ®を通して大きく息を吐く
無理をしない程度に、アカペラ®を通して大きく息を吐く。呼気は吸気の約3〜4倍長くなるように吐き出す。
ハフィング(咳払い)で喀出
10〜20回のPEP療法後、2〜3回咳払いをする。必要に応じて、咳をして分泌物を吐き出す。痰が出ない場合でも必ずハフィングを行う習慣を身につけさせることが望ましい。
✅ 指導の3つのポイント
- ① マウスピースをくわえたままの状態で呼吸ができること
- ② 呼気時間を吸気時間の3〜4倍とすること
- ③ 10〜20回の訓練後、ハフィング(咳払い)を行い、分泌物を喀出すること
自己管理能力を高めるための支援
導入の前提条件
- 気管支拡張薬などの薬物療法が適切に行えていること
- 定期的に専門医の評価を受けていること
- 必要性と器具の使用法を十分理解できる患者であること
継続支援のポイント
- 訓練後はしっかりとハフィングし、分泌物を喀出すること
- 自己判断で訓練を中断しないよう指導
- 継続的に医療者による評価と自己管理に対するポジティブフィードバックを行うことが重要
⚠️ 状態悪化時の注意
慢性呼吸不全患者の多くは、上気道感染などが合併したときに容易に状態が増悪することもある。そのような状態にあるときには、アカペラ®の継続が呼吸仕事量の増大をまねく危険性もあり、専門医による継続的な評価の機会があることが重要となる。
相乗効果が期待できる取り組み
呼吸筋トレーニングとの併用
- 呼吸筋を鍛え、ハフィングに必要な筋力を維持できるよう体操の習慣化を指導
- 呼気陽圧療法との相乗効果が期待できる
排痰体位との組み合わせ
- 分泌物の貯留部位のフィジカルアセスメントにより、分泌物の移動を促進する排痰体位を指導
- 呼気陽圧療法との相乗効果が期待できる
🏥 術後無気肺予防への応用
アカペラ®は様々な体位で使用できることもメリットのひとつ。患者が外科的手術や検査などの治療を受け、安静が強いられる際、手術部位への影響を考慮した適応についての専門的判断が必要だが、術後無気肺予防に応用できる場合もある。